革命的RTS『Homeworld』がもたらした「次元の変革」とは?──物語と体験の新たな地平を切り拓いた傑作の本質

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この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。

Homeworld – The Digital Antiquarian


1.「RTS史上最大の”ジャンプ”」がもたらした衝撃

みなさんは、1999年にリリースされたリアルタイムストラテジー(RTS)ゲーム『Homeworld』をご存知でしょうか。
本記事は、その『Homeworld』がRTSの歴史、ひいてはゲーム史にどれほど深い軌跡を刻んだか──そしてその根幹に「三次元空間」と「物語体験」がいかに作用し合ったかを掘り下げています。

RTSといえば、90年代には「Command & Conquer」「Warcraft」「Starcraft」など、完成度の高い2Dゲームが席巻していました。
一方で、同時期に台頭していたもうひとつの主力ジャンルであるFPS(ファーストパーソン・シューター)は”3Dグラフィックス競争”の真っただ中。
このふたつの潮流を橋渡し、RTS界に革新をもたらしたのが『Homeworld』だったのです。


2.「3D RTSという奇跡──初手で到達した完成形」

記事では、まずRTSの技術的変遷に言及されています。

“The technology behind the RTS was fairly traditional by comparison; … these games relied on sprites and pixel graphics that weren’t that dissimilar in the broad strokes from the graphics of the 1980s.”

「RTSゲームは、80年代とそれほど変わらないピクセルグラフィックスやスプライトに依存してきた」とあり、この種のゲームが長らく2Dにとどまってきた伝統を端的に説明しています。

そして決定的なブレイクスルーについて、こう記述されます。

“But it wasn’t until Homeworld, a game developed by Relic Entertainment and published by Sierra in late 1999, that an RTS went all-in on 3D, moving the battlefield from the surface of a planet to the infinite depths of space, where up could just as easily be down, or left, or right.”

※「Homeworldによって、RTSが本格的に3D化した。戦場が惑星表面から宇宙という無限の深みへと移った。そこでは”上”も”下”も、左も右も、すべて同等の選択肢となった。」

この記事では『Homeworld』以前のRTSは、見下ろし型(アイソメトリック)ビューが定番だったにも関わらず、『Homeworld』は「真の三次元空間」を導入した決定的な分岐点である、と強調しています。


3.物語性と体験型デザイン──RTSの常識を覆す発想

『Homeworld』の画期性は単に「3D化」だけではありません。
ゲームデザインそのものに「物語体験」の重要性が明確に組み込まれていたことが特筆されます。

“Most games begin with a gameplay genre … But some games — including many of the most special ones — begin instead with an experience their makers wish to offer their players, then let that dictate the mechanics. It feels appropriate that Homeworld … started the latter way.”

「通常、ゲームはジャンルからスタートするが、『Homeworld』は”プレイヤーに味わわせたい体験”から発想されており、その結果として唯一無二のゲームとなった」

このアプローチの象徴が、リーダーであるAlex Garden氏のビジョン。
彼は、70年代のSFドラマ『Battlestar Galactica』や『Star Wars』に触発され、「漂流する宇宙難民が新天地をめざす旅」を”プレイヤー主導”で感じさせることを目指しました。
特に着目したいのは、物語性を担保するために実際に人類学者・SF作家・ゲームジャーナリストといった多様な専門家を起用し、世界観・シナリオを徹底的に練り込んだ点です。

“They made the setting and the story as rich as Garden could possibly have hoped for… The eventual manual would open with 40 pages of ‘historical and technical briefings’ in small type.”

マニュアルは40ページの設定資料から始まる──このこだわりは当時のRTSとしては異例中の異例でした。


4.操作・UIの革命──「宇宙で指揮する」という体験

3D RTSならではのインターフェース実装も、ゲーム史的に非常に価値があります。

従来のRTSは2Dの盤面上でユニットを操作しますが、『Homeworld』ではマウスの複雑な操作(ホイール、三つボタン、ドラッグ)を駆使し、「宇宙空間に漂いながら全方位に部隊配置や視点変更ができる」インターフェースを確立。
開発段階からこの基本スキームは完成されており、二年かけて細かな磨き込みが行われたといいます。

この「空間を完全に自由な視点で把握し、操作できる」感覚が、単なるRTSにとどまらない新次元の没入感をもたらしました。
それゆえ初心者には若干難しく感じられる一方、「RTS経験ゼロの新規プレイヤーの方が自然に馴染めた」との開発者コメントまであります。
この事実は、「三次元空間で考える」ことへの人間の根源的な適応力、そしてUI/UX設計の可能性を如実に示しているといえるでしょう。


5.物語体験の凄味──「感情でプレイさせる」RTS

RTSと言えば「資源を集めて軍備増強、敵を殲滅」―― そんなシンプルなサイクルがありがちですが、『Homeworld』は質的に異なります。

キャンペーン進行では「資源・研究・艦隊規模」をシナリオ間で持ち越すことができ、線形的な成長感と持続するドラマを生み出しています。
また「一隻一隻の船に愛着が湧く」「戦い方と成長の物語が紡がれる」「ユニットを守りたいと思う」といった感覚は当時のRTSには希少なものでした。
この仕組みが、例えば『XCOM』のような強い「ロスト回避」「軍人との心のつながり」に近い体験をもたらします。

劇的なストーリー展開──たとえば帰還すべき故郷が無慈悲にも滅ぼされるシーン──では、BGMに”Adagio for Strings”など格調高い楽曲を使い、過剰な演出をせず「静謐で崇高な悲しみ」を丹念に描出。
記事でも

“The vibe is more 2001: A Space Odyssey than Star Wars or Battlestar Galactica … Homeworld feel like the lone adult in a genre full of screeching adolescents.”

と、他のRTSが子供じみて見えるほどの「成熟した語り口」だと強く称賛しています。


6.単なる「技術革新」にとどまらない──文化的フットプリント

『Homeworld』が記念碑的なのは、単なる技術的快挙に終わらず、「ゲーム=遊び」から「ゲーム=体験/物語」へとジャンルの重心をシフトさせた点にもあります。

同時代の『Half-Life』や『FreeSpace』シリーズも挙げて、記事は「90年代末の一群の傑作たちは、娯楽を超えた重厚かつ没入的な”物語体験”を追求した」と評価します。

“They have, for lack of a better word, gravitas… Art, after all, is where you find it.”

ゲームの価値や芸術性をどこに見出すかは人それぞれだが、『Homeworld』は”重み”を持った作品として記憶されるべきだ──このメッセージは現代のゲームデザイン論にも通じる洞察です。


7.現代的意義と課題──「立体的」な感動の行方

それでは、現代のゲームデザインやユーザー体験から見て『Homeworld』はどんな課題やヒントを投げかけているのでしょう。

① “ジャンル起点”から“体験起点”への価値転換

現在、多くのゲームクリエイターが「どんな遊び方をさせるか」より「どんな感情を動かすか」へ発想の主軸を移そうとしています。
『Homeworld』は20世紀末にして、すでにその「感情起点のゲーム設計」に成功――しかもRTSという難しい枠組みで成し遂げた。
この先進性は、インディーゲームの物語志向や、AAAタイトルの「体験型ストーリーテリング」に至るまで、脈々と受け継がれています。

② “3D化”は技術以上の意味を持つ

3D化自体は単なる「見た目刷新」と思われがちですが、『Homeworld』では「宇宙空間を自由に航行し、人生の居場所を目指して迷子になる主人公たち」を、プレイヤー自身の視点と操作にダイレクトに投影しています。
これは、「技術進化が内包する感情・物語表現の飛躍的伸張」を体現した好例です。

③ 今後への課題:物語性と設計自由度の両立

極限まで美しく設計された『Homeworld』ですが、記事の中では「やや難易度が高く、誰でも最後まで辿り着けるとは限らない」「ストーリーと成長が密結合すぎてリプレイ性や自由度は限定的」といった示唆も感じ取れます。
現代においては「難易度調整」「シナリオ分岐」「パーソナライズされた体験」など、さらなる進化への余地も見いだせるでしょう。


8.まとめ──「プレイヤーは”故郷”を求める旅人」なのかもしれない

この記事に触れることで、『Homeworld』が単なるRTSの名作という域を超え、「プレイヤーにとっての”体験の故郷”」を結晶させた希有な作品だと改めて感じさせられます。

  • テクノロジーの進化が、ただ”見た目”をよくするのではなく、”物語を感じるスケール”そのものを拡張した
  • ゲームの根幹が「勝つ」ことではなく「帰る」こと、「生き残ること」「喪失すること」に向かい得る
  • 「アート」としてゲームを語る時代の始まりを代表する作品である

そして、「誰しもが人生のどこかで”故郷(Home)”を探して旅をしている」──そう問いかけるテーマが、いまなお色褪せずに私たちの心に響きます。

RTS好きはもちろん、ストーリーに魂を焦がすすべてのゲーマーこそ、『Homeworld』に再び(あるいは初めて)「帰還」してみてはいかがでしょうか。


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