この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Just Write Tests
テストの重要性を軽視していませんか?「Just Write Tests」が投げかける本音
「テストを書く」——多くのエンジニアにとって何度も耳にしたアドバイスですが、それがどれだけ深刻で本質的な意味を持つのか、正面から考える機会は意外と少ないものです。
今回取り上げるのは、エンジニアとして現場経験を積んできた筆者が、「なぜテストを書くべきか」について赤裸々に語ったブログ記事Just Write Testsです。
タイトル通り、シンプルかつダイレクトな提言の裏に、現場で感じたリアルな苦悩や気づきが詰め込まれています。
本記事ではこの英語記事の主張を引用しつつ、その意義や背景、そして現代の開発現場にどのようなインパクトを与えるのか、解説と考察を行います。
「テストが無ければ証明できない」〜筆者の生々しい主張
まず筆者は、テスト(特にユニットテスト)の意義について、こんな風に語ります。
“Once you’re done with your code, how do you prove that it works? … Unit tests give you the possibility to just re-run them and ensure that your code is still working, it is still reachable, and still produces proper results. Also, you can refer to them as proof of implementation in future.”
つまり、「コードを書き終わった後、それが本当に動作するか、どうやって証明しますか?ユニットテストなら繰り返し実行して動作確認できるし、将来その実装の証拠にもなる」と述べています。
また、ドキュメント化に関する不満を次のように吐露します。
“…if we would write documentation for every small feature we implement, we would have no time for shipping actual software, just constant .md files, which nobody reads. … You can always just read a unit test for the given feature.”
「もし全ての細かい機能についてドキュメントを書いていたら、実際のソフトウェア開発の時間はなくなる。誰も読まない.mdファイルばかりが増えるだけ。だったら、機能ごとにユニットテストを読めば済むじゃないか。」という鋭い指摘です。
さらにリファクタリングやバグ修正の文脈でも、テストの価値を次のように強調しています。
“Want to refactor something? Sure, unit test gets you covered, just keep re-running it while you rewrite code…. Add unit tests, they will cover you.”
このように、「リファクタリングするなら、ユニットテストを走らせ続ければ安全。動作を変えずに中身だけ綺麗にしたいとき、テストがカバーしてくれる」と、何度も繰り返しテストの重要性を訴えています。
「テストを書かなければ開発は成立しない」——主張の背景と意義を読み解く
筆者の主張には、単なる「教科書的なきれいごと」にとどまらない切実さがあります。
1. “e2e”の限界と現実的なテスト戦略
冒頭で筆者は「e2eテストが格好良いのは分かるが、重く壊れやすい(heavy and brittle)」と述べています。
これこそ現場感覚がにじみ出ている部分です。
エンドツーエンドテスト(E2E)は、アプリ全体のシナリオを検証できる反面、その構築や保守には膨大な時間とコストがかかります。
頻繁な実行には不向きです。
対してユニットテストは「細かく素早く走らせる」ことができ、小さな変更点のリグレッション(既存機能のバグ化)をすぐ検出できる。
だからこそ、筆者は「普段の開発工程では軽量なテストを中心にすべきだ」と強調しています。
2. ドキュメントかテストか
現場では「動くコード>ドキュメント」という価値観が根強いですが、筆者がここで明言しているように、本当にドキュメントを完璧に保つ「理想状態」はまず到達できません。
しかも、「形骸化したドキュメント」を大量に維持するのは徒労感しか残らない。
その点、ユニットテストは次の2つのメリットを持っています。
- テストが成立する限り、コードの意図と期待仕様の“動く証拠”になる
- 新しいメンバーが「実際にどう動くのか」をまさに動くテストで理解できる
この現実的なアプローチは、「書類よりもコード本体を信頼しろ」というアジャイル開発の精神とも深くリンクしています。
テスト駆動開発(TDD)との違い、新時代のユースケースとは?
現代ソフトウェア開発には「テスト駆動開発(TDD)」という思想があります。
しかしこのJust Write Testsの記事は、「TDDが唯一解」だとは言い切っていません。
むしろ「どんなアプローチでも良いが、とにかく“テストを書く”こと」そのものに重点を置いています。
TDD原理主義が陥りがちな“テストコードのためのテストコード”の罠や、「書くより読む方がラク」といった庶民的感覚からも現実的です。
日々のメンテナンスや拡張といった“運用フェーズ”にこそ、テストの本当の効力が発揮される。
バージョンアップ、外部サービスの切り替え、大胆なUIリニューアルなど、「仕様書やREADMEでは絶対にキャッチアップできない細かな変化」をテストがすくい上げてくれるからです。
特に人の出入りが激しいプロジェクトや、何年も進化を続けてきた大規模サービスではこの差が“命運”を分けます。
実際にはテストを書くのは辛い?普遍的なジレンマ
一方で、「全ての開発者がいつでも十分にテストを書けるか?」というと、現実は厳しいものです。
急ぎの納期間近、コストに厳しいスタートアップ、あるいは“えいや!”でバグ修正を繰り返す小規模チーム。
「テストコードを書く時間がない」「取り組んでいる暇があったら新機能を…」といった誘惑が常につきまといます。
もっと言えば、「書いたことがないから書き方が分からない」「チームにテスト文化が根付いていない」といった根本的な障壁もあります。
また、習慣として「とりあえずテストフォルダに適当に…」だけでは、テスト自体が形骸化し、メンテ不可能な“化石”になるリスクも否めません。
つまり、「テストさえ書けば万事解決」ではなく「なぜ、どんな設計で、何をテストするべきか」を常に問い直しながら最適解を探る必要があるのです。
それでも「Just Write Tests」なのはなぜか?
筆者は四の五の言わず「Just Write Tests(とにかくテストを書け)」と力説します。
この姿勢の背後には、現場で多くの失敗・混乱を目撃した痛みがあるのでしょう。
ときには最小限のテストさえなく、他の開発者が何時間も「この仕様はどうなってる?」「なんでここでバグる?」と右往左往した経験。
ドキュメントは数ヶ月で消え去り、仕様理解が担当者の「脳内ブラックボックス」化する恐怖——こうした生々しい現場の惨状が透けて見えます。
こうした「最低限の自己防衛」としても、テストこそがエンジニアの最強の武器だと言えるでしょう。
最後に読者へ——今、あなたのコードにテストはあるか?
最後に、この記事を読んでいるあなた自身の開発現場を思い浮かべてみてください。
- 「いつの間にか仕様が分からなくなったボタン」
- 「移行したメンバーの作った謎の関数」
- 「何度直してもゾンビのように蘇るバグ」
こうした“よくある”事態に対して、文書やWikiや口頭伝承だけに頼らず、「テストケースの通過/失敗」で即座に把握できたら。
それだけで、未来の自分/仲間/後輩のための“最速の説明書”になります。
「Just Write Tests」は、極端なスローガンかもしれません。
ですが、膨大なドキュメントを書くより、複雑な設計図を描くより、まずテストを書くことで得られる安心と時間こそ、未来のあなたとプロジェクトを救う“最後の保険”になるでしょう。
さあ、今日からすぐ——your turn to just write tests.
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