知る人ぞ知る、真の「最強」EC――McMaster-Carrの秘密に迫る

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この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
McMaster Carr – The Smartest Website You Haven’t Heard Of


ショッピングサイトの「定番」を覆す驚きの事例――McMaster-Carrとは何者か?

みなさんは、「mcmaster.com」というサイトの存在をご存知でしょうか?

日本ではあまり耳馴染みがないかもしれませんが、米国のエンジニアやものづくりの現場では、「なくてはならない」インフラ的存在とも言える産業資材の通販サイトです。

一見地味で、一般消費者向けではありませんが、この記事の筆者は「most people I know haven’t even heard of it, but mcmaster.com is the best e-commerce site I’ve ever used.」と断言しています。
つまり、多くの人が知らないながらも、これ以上のEC体験はない、と。

なぜ、産業資材の地味なサイトが「最高」のECなのか――。
その謎を、この記事では原文の引用を交えながら、解説・考察していきます。


究極の「機能美」――McMaster-Carrの設計思想に学ぶ

最初に強調されているのは、その圧倒的な”割り切り”です。
著者はこう述べます。

“mcmaster.com is great because it does what it needs to, and nothing else.”

つまり、「このサイトは、必要なことだけをし、それ以上は決してやらないから素晴らしい」と。

サイトのデザインもごくミニマル。
グレースケールを基調とし、無駄なポップアップや動画、おすすめ商品の提案、最近のトレンドであるパーソナライズやAI推薦システムもありません。
「ユーザーの目的――必要な部品を、最短距離で探す――に全振りした作り」だと筆者は評価しています。

実際、mcmaster.comのユーザーは、家電のように「なんとなく眺めて買う」のではなく、明確な目的で必要な部品を調達しに来る人ばかり。
この前提に基づいた徹底構造――これこそが、サイトの最大の強みです。


スペックが物語る「分かりやすさ」と、徹底した検索体験

筆者は、検索体験の具体例も挙げています。

“Let’s say I’m searching for a bolt: I type “bolt” into the search bar McMaster shows me several subcategories: hex head, socket head, set screws, etc. … I’m looking for a 1/4″-20 x 1″ bolt, meaning that the bolt’s diameter is 1/4″ and its length is 1″, so I select these filters. There are over a dozen other filters, such as material, hardness, and head size.”

この工程――検索バーにキーワードを入れ、段階的にフィルタをかけていく。
そこに現れるのは、直感的で情報過多にならない絞り込みデザイン、シンプルなイラストによる寸法図、さらには選択中の商品について即座に出てくる専門用語解説付きのドロップダウン。

「エンジニアのハンドブックとカタログが一体化している」かのような体験を与えてくれる点が、並みの通販サイトとは一線を画します。

一般的なEC(例:Amazon)では、カテゴリーや仕様が曖昧だったり、膨大な商品群による選択のストレス、そして決して親切とは言えないフィルターUIが目立ちます。
Amazonの価格フィルターすらも、「なぜ2つの入力ボックスなのか?なぜスライダーじゃない?」と、辛辣に批判されているほどです。


CADデータまで即ダウンロード!エンジニアを「10倍速く」する理由

これだけではありません。
工業系ECサイトの常識をさらに上回る特徴が、「CADファイルの即時ダウンロード」です。

“for nearly every part, they have a CAD file that you can instantly download into your 3D models. Mechanical engineers mock up designs in CAD programs before actually building them, and having access to pre-modeled parts saves time.”

ほとんどすべての部品でCADデータが用意され、設計作業が劇的に効率化。
3Dモデル設計の現場において、「ネジやボルトを一つ一つモデリング」する手間は想像以上。
これがワンクリックで自分の設計データに取り込めることの価値は計り知れません。

さらには主要CADソフト向けの拡張機能も提供し、サイトにアクセスせずとも部品データを取り込めてしまう。
選択の自由度だけでなく、作業工程そのものを根底から見直しています。


なぜ「美しいのに目立たない」ECサイトなのか?

ここまで徹底した設計思想の背景には、何があるのでしょうか?
著者はこうも述べます。

“Mcmaster.com is a product that understands its customer. The minimal, functional design allows users to find their parts as quickly as possible, nothing more or less. It’s an unexpected reminder to not get lost in the allure of smooth gradients, 3D animations, or slick fonts, and instead relentlessly focus on what it is your customers really want.”

ここでのポイントは、「顧客理解」に立脚した、一切の無駄を排した機能追求。
見栄えよりも、とにかく目的達成の効率を最優先していること。
そして、工業製品の持つ「機能美」を具現化している、という点です。

製品デザインの名言として、記事中にこう引用されています。

“If something is 100 percent functional, it is always beautiful…there is no such thing as an ugly nail or an ugly hammer but there’s lots of ugly cars, because not everything in a car is functional…sometimes it’s very beautiful, if the person who designed it has very good taste, but sometimes it’s ugly.”

すなわち、機能が100%追求されていれば、自ずと美しい――という信念。
これはデジタルプロダクトにも通じる本質ではないでしょうか。


私自身の考察――なぜこの思想が「現代的」で、真似できないのか

筆者の見解を読んで強く感じるのは、McMaster-Carrのサイト哲学がきわめて「時代逆行的」に見えて、実は「現代的」だということ。

多くのECやアプリが「回遊性」「パーソナライズ」「エンゲージメント」などを追求し、顧客の”注意”を最大限引きつけようとします。
動画やおすすめ商品、ポップアップで次々と目を引きますが、それは「目的」ではなく「滞在時間」や「ついで買い」などのKPIを基準にしているからです。

McMasterは、徹底的に「顧客の仕事(要件)を片付けること」だけに集中。
だから、余計な情報や“美しいだけ”の演出は徹底排除する――これは現代のUXにおいて、稀有な徹底ぶりです。

正直、この思想は「誰にでも応用できる」ものではありません。
なぜなら、世の大半のECやプロダクトは、「目的があいまいな消費」を前提に設計されているからです。
McMasterのように、「ユーザーは明確なニーズの元にやってきて、最短で唯一の行動(目的商品の購入)を達成する」前提が明確でなければ、この機能美は実現できません。

例えば、ファッションECで同じ設計をしても、人はそもそも「偶然の出会い」を求めて回遊するので、McMaster式のアプローチは不向きです。
しかし、特定用途・専門ユーザー向けのサービスであれば、この設計思想は大きな学びとヒントを与えてくれるはずです。


「顧客の目的」に100%コミットするデザインへの示唆

結論として、McMaster-Carrのサイトが教えてくれる最大のポイントは、

  • 「誰の」「どんな目的」のためのプロダクトなのかを徹底的に洗い出し、そこに全てを収束させよ
  • 機能美=不要な飾りや演出を徹底排除することで、逆に唯一無二の価値が生まれる
  • 顧客の生産性や業務効率を妨げないUI/UX設計こそ、真のパフォーマンスである

という3点だと考えます。

エンジニア向けだけでなく、あらゆる業界・領域のプロダクト・UXデザインにとって、McMaster-Carrは「機能美の究極」そして「本質的な価値提供とは何か」を問いかける存在です。

皆さんが日々使うサービスや、自分が関わる制作物に、「目的への寄与度」という観点で見直してみるのはいかがでしょうか?


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