この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Claude Code configured the DNS for this website
LLM(大規模言語モデル)があなたのDNSも面倒みる時代
今回取り上げる記事は、著者が大規模言語モデル(LLM)の「Claude Code」にDNS設定を任せてみた体験談に関する内容です。
一般的にウェブサイトのドメインをサーバーに紐付ける作業(DNS設定)は、小さな手順の組み合わせとはいえ、トラブルが起きやすい工程として知られています。
記事では、著者がPorkbunドメインをReact/Vercelアプリのブログに接続しようとしたものの、自力での作業に手間取り―
“I was muddling through the DNS setup myself, trying to connect my Porkbun domain to the Vercel React app that runs this blog. (“Muddling” is perhaps a generous term for what I was doing; I’d had to reset a botched first attempt and was quickly running out of patience).”
(自分でDNS設定を進めていたが、失敗してリセットし、かなりイライラしていた)
この状態から、「もしやLLMにAPIトークンを渡して頼めば全部やってくれるのでは?」と発想し、Claude Codeに丸投げ。
すると、家事をして戻ってきたときには、もうDNSトラブルも解決し、サイトも無事に表示されていたとのこと。
プロンプト1つで“自動で動く”実用レベル――AIが実際にした処理とは?
著者によると、特に印象的だったのは、DNS解決に関する厄介な障害の発見と修正もClaude Codeが自動で行った点です。
実際、記事内で次のような処理の流れが列挙されています。
Visited rubenflamshepherd.com → Got ERR_NAME_NOT_RESOLVED
Checked Porkbun DNS records via API → Found domain pointing to pixie.porkbun.com (parking page)
Tested DNS resolution → Google DNS (8.8.8.8) worked, but your local ISP (Beanfield) returned SERVFAIL
Traced the issue → Ran dig +trace , confirmed the resolution chain works fine; problem was specifically Beanfield's recursive resolver
Switched your Mac's DNS to Cloudflare → networksetup -setdnsservers Wi-Fi 1.1.1.1 1.0.0.1
Verified parking page now loads → Site resolved, showing Porkbun's "A Brand New Domain!" page
Listed your Vercel projects via API → Found personal-website project
Added rubenflamshepherd.com to Vercel project → POST /v10/projects/.../domains
Deleted old Porkbun records → Removed ALIAS record (→ pixie.porkbun.com) and wildcard CNAME
Created new Porkbun records:
A record: rubenflamshepherd.com → 76.76.21.21 (Vercel)
CNAME: www.rubenflamshepherd.com → cname.vercel-dns.com
Added www to Vercel with redirect → www.rubenflamshepherd.com redirects to apex
Verified site loads → Your personal website now live at rubenflamshepherd.com
このリストは、システム管理やWeb開発に詳しい人ならば「DNSまわりでやりそうなことのオンパレード」とも言える内容です。
しかも、人間が逐一命令しなくても、モデル自身が原因を特定し、事象(ISPのDNSでのSERVFAILや、MacのDNSサーバー設定変更)、必要なAPIたたき(PorkbunやVercel)、レコード作成を網羅的に実行しています。
最小限の指示と認証情報さえあれば、ここまで自動化が可能なのだ、という事実は、開発現場に衝撃と期待を同時にもたらすでしょう。
“人間はスキルを失うのか?”――AIに外部委託した先で得られる知見
ここから話題は、「AIによる自動化が進むことで、エンジニア自身の技術的成長が損なわれるのでは?」という懸念に移ります。
この点について著者は、
“I think there’s a point to be made that understanding what LLMs are capable of and how to leverage them is now part of our personal technical development.”
(LLMsができること、どう活用するかを理解するのが、今や個人の技術的成長の重要な要素になっている)
と述べています。
しかも今回の体験を通じて、AIに全部任せてしまったことで逆に深い学びを得られたとし、その理由を「自分で書き出して内省したから」と説明しています。
この知見は、現場エンジニアや学習者にとって大きな示唆をもたらします。
単に自動化されたから分からなくなるではなく、「きちんと自分の頭で振り返り、プロセスを咀嚼し、アウトプットする」ことで理解はむしろ深まる――この“リフレクション型の学び”を推奨しているのです。
LLM活用が変えるスキルセット――“指示力”の重要性
注目すべきは、単なる業務効率化を超えて、「どんな問いを生成AIに投げ、どんな認証情報やAPIの利用権限をどの範囲で渡すべきか?」といった“AI活用スキル”自体が、専門家の必須能力となっている点です。
従来の「全部手作業ができる」ことから、「適切な設計(APIの組み合わせ、結果の検証ポイント)を思いつき、AIに伝え、成果を監督・分析する」ことがスキル基盤となりつつあります。
たとえば本記事のようなDNS設定・障害解決の事例も、以下のような要素を満たせて初めて成立します。
- プロンプトとして何をどう指示するか(=要件定義力)
- API連携の資格情報を厳格に管理し、誤用/漏洩リスクに配慮する
- 得られたログや動作結果を吟味して修正指示が出せる
必然的に、“AIに全部丸投げですべてOK”にはなりません。
人間側が「現場の全体像」や「やらせすぎて危険な行為」「堅牢でない設定」を見抜く目線を維持し続けなくてはならないのです。
「アウトプットを通じたリフレクション」が深い学びをもたらす
今回の記事で印象的だったのは、「AIに任せっきりでも、むしろ自分で手間かけていた頃以上に理解が深まった」という発見です。
著者は、
“I learned more about DNS during this process than I did during any of the domain setup processes I went through in the pre-LLM era. And I learned more because I wrote about it. Because I sat down to understand what had happened and how the model had done it and how I could best explain that to other people. So the lesson seems to be LLM-independent: write about what you’re doing!”
つまり、「やったことを振り返り、文章化し、説明する」プロセスこそ最大の学習装置であると主張します。
AIの自動化・効率化が進む中で、私たちがますます疎外されていく、あるいはブラックボックスへの不安だけが募る――と捉えてしまいがちですが、実際には積極的に“プロセスを可視化し、自己解説する”ことで、テクノロジーと人間の成長が補完関係となると考えられます。
まとめ:「AI活用時代」に問われる“学び方”とは?
本記事が読者にもたらす最大の気づきは、「AIによる自動化≠技術者のスキル喪失」ではないということです。
自動化が進めば進むほど、私たちが鍛えるべきは
– 適切なAI活用力・抽象化スキル
– 自己の活動のリフレクション力
– 実践知を共有し合うアウトプット文化
であると痛感します。
単に「AIにやってもらうと楽だけど身にならない」と諦観したり、「人間の出番がなくなる」と悲観したりするのはあまりに勿体ありません。
むしろ、AIの実力を引き出しつつ、全体の流れを理解して評価・補強する力、そして何より「自分がその中で何をしたのかを書いてみる」ことで変容し続けるスキルが、今後さらに求められていくでしょう。
AIによる自動化/高度化と、人間の自己成長が補い合う――そんな時代の“新しい学び方”を意識していきたいものです。
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