最前線からの告発 ― アメリカ上院議員が指摘する「ガザ民族浄化」と米国の共犯性

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この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Senators say US is complicit in Israel’s ethnic cleansing of Gaza


ショッキングな告発―この記事が問いかけるもの

本記事は、アメリカの有力紙The Guardianが2025年9月12日付で配信したもので、2人の民主党上院議員が「イスラエルによるガザの民族浄化計画」と、その行為にアメリカ政府も加担していると明言した内容を扱っています。

特に、メリーランド州選出のChris Van Hollen議員とオレゴン州選出のJeff Merkley議員、いずれも上院外交委員会のメンバーが、現地調査と具体的な証言・資料をもとに作成したレポートの主張を、国際社会・アメリカ世論に向けて強く訴えている点に注目が集まります。


民主党上院議員の主張 ― 「ガザで意図的な民族浄化が進行中、その支援にアメリカも関わっている」

以下、記事から一部抜粋します。

Two Democratic senators claim they have reached the “inescapable conclusion” that Israel is acting on a systematic plan to destroy and ethnically cleanse Palestinians from Gaza to force locals to leave, and they say the US is complicit.
Chris Van Hollen of Maryland and Jeff Merkley of Oregon, both members of the Senate foreign relations committee, released their findings in a report on Thursday after returning from a congressional delegation to the Middle East where… they also found a systematic campaign to strangle humanitarian aid, which they call “using food as a weapon of war”.

要するに、両議員はイスラエルの行動が「ガザ地区のパレスチナ人を追い出すための系統立てられた民族浄化計画」に該当すると結論づけています。

また、「アメリカも共犯である(the US is complicit)」と明確に指摘し、イスラエルへの軍事・財政支援や人道援助物資への制限に米国も責任があるとしています。

加えて特筆すべきは、イスラエルが「爆弾や銃弾による破壊」を超え、「人道支援の絞殺」「食糧を戦争の武器としている」と実地で確認した点。


単なる「戦争」ではなく「民族浄化」―分析と意義

「人道援助の制限」は偶発的か意図的か?

レポートでは、イスラエルがガザに対して実施している一連の行動は、単なるハマス掃討作戦や戦闘による副次的な被害(いわゆるコラテラルダメージ)ではなく――

“The Netanyahu government has gone far beyond targeting Hamas to imposing collective punishment on all the people of Gaza,” Van Hollen said at a Thursday press conference.

――パレスチナ住民全体への「集団懲罰」になっているという重大な指摘がされています。

人道援助が著しく制限されている事実も複数具体例で報告されています。

たとえば、ヨルダン援助団体のトラックが「ピーナッツバター、はちみつ、デーツ」が含まれているとして突如停止されたこと、新たな400ドルの通関手数料、検査不能時は再度支払いが必要であること等。

また、ガザに通じるアシュドッド港では「2,200の食糧コンテナが、個々のパレットごとに検査されるため何週間も足止めされている」状態。

極めつけは、「国連・赤新月社の救援物資倉庫で、ソーラー給水ポンプ、テント、車椅子、予備部品までもが『デュアルユース(軍民両用)』を理由に搬入を禁止されている」事実です。

こうした措置が単なる戦時の厳格な警備体制を超え、「故意に住民を追い詰める戦略的な制限」である可能性を両議員は指摘しています。

「自発的な脱出」という欺瞞

さらなる重要ポイントは、住民のガザ離散について、イスラエル政府と米国が「自発的(exodus)」と発信していることに対し、

“That Israel and the United States are calling plans for the mass displacement of Palestinians in Gaza a “voluntary exodus” is one of the ‘most fraudulent, sinister, and twisted cover stories ever told’,” the report reads.

と非常に厳しく批判していることです。

生活の基盤が徹底的に破壊され、飢餓や医療不足に追い込まれた住民が「土地を捨てる」ことのどこに「自発性」があるのか、極めて説得力のある疑義を呈しています。


有志議員の告発の意義と現実的インパクト

アメリカ国内での言論・立法への波及は?

民主党上院の外交委員会メンバー2名が、ここまで踏み込んだ「ジェノサイド」「民族浄化」「共犯」という用語を公式レポートと記者会見で用い、公に米政府を批判したことは極めて異例です。

これまで米議会民主党は、概して「イスラエルとの歴史的友好」を第一義とする発言が大勢を占めてきました。

しかしながら、

“A recent Senate vote on arms sales to Israel saw 27 Democratic senators – more than half the caucus – oppose weapons transfers.”

という記述通り、近年は党内でもイスラエルへの無条件支持への再考や疑問視する声の高まりが現れてきています。

米国内でのイスラエル支援見直し論――とりわけパレスチナ人への人権侵害に基づく批判の高まりは、ハマスのテロ攻撃以降に極めて微妙な「言い換え」「論点のすり替え」がメディア・行政双方で散発されてきました。

今回の告発は、その流れに歯止めをかける重要な象徴的行動だと言えるでしょう。

「人道危機」は戦略なのか? 現場証言から見えるもの

「食料を戦争の武器にする」「住民の移動・避難を事実上妨げ、かつ“大量流出”を自発的と強弁する」

この構造に極めて現代的な“ハイブリッド戦争の手法”が見え隠れします。

両議員は元IDF兵士(イスラエル国防軍)からの証言もまとめています。

“first-hand accounts of ‘how this was a part of an intentional pattern of using explosives to blow up whole city blocks, houses, schools and other civilian sites’.”

つまり「市街地の意図的・体系的爆破」という作戦が【偶発的】というより【戦略の一環】であるという生々しい証言です。

人道的見地からだけでなく、現代の戦争研究の観点からも注目すべき事実です。


「共犯」の名指しは政治的パラダイム転換になりうるか?

バイデン政権・米議会は「共犯」批判をどう受け止めるか

議員自身が語っている通り、

“We, the United States, are complicit in all of this. Because we’re providing taxpayer dollar support to the Netanyahu government to use weapons in Gaza.”

すなわち単なる外交声明や人道懸念レベルではなく、米国自身の「武器供与」「資金提供」という国家政策の根幹が批判されています。

この発言は、米議会民主党内のタカ派・ハト派、また大統領選に向けたパレスチナ系・ユダヤ系票の動員にも影響しうる政治的な爆弾発言と言えます。

今後、同調者がどこまで増え、「ガザへの即時停戦」「武器供与停止」など政策転換に現実的な動きが出るかは注目に値します。

問われる国際社会の責任

両議員は、

“The world has a moral and legal obligation to stop the ongoing ethnic cleansing. Strong words alone will not be sufficient. The world must impose penalties and costs on those carrying out this plan.”

と述べ、単なる非難や言葉による抗議ではなく、「具体的な制裁」や「代償を科す」必要性まで提起しています。

この姿勢は、ICC(国際刑事裁判所)や国連安保理での議論に直結する「法的責任」と「莫大な政治的コスト」を改めて世界に投げかけるものです。


事態打開への処方箋―「行動」こそ問われている

今回の記事が教えるもの

この記事全体から浮かび上がる最大のメッセージは、「外交辞令や抽象的な非難を超え、加害者・共犯者の輪郭を明確にした状態で“具体的行動”を国際社会すべてが求められている」という点です。

米国内の世論・議会も着実に「変化」をみせていますが、現実には住民の飢餓・破壊・人道的危機は刻一刻と進行中です。

「民族浄化」「食糧を武器とした人道犯罪」「意図的な民間インフラ破壊」といった指摘は、日本の読者からすれば遠い中東問題のように思えますが――

戦時下の人権、国際法のリアルな適用、そして超大国の「政策責任」という点で、多くの先進国や一般市民の立場にも通じる現代的課題です。


わたしたちへの問い―国際社会の良心と実効的アクション

ガザ危機の再発防止。「共犯」の名指しが実際の政策を変えることができるのか。

その成否は、まさにわたしたち一人一人にも突き付けられています。

大義やスローガンだけでは問題解決に至らない。

取るべき行動は何か――「自国の政府/議会へ透明な説明・説明責任を求める」「現地NPO支援」「知る努力と発信」など、個人レベルも問われています。


関連情報や資料へのリンク


終わりに

アメリカの現職上院議員の「共犯」発言は、日本を含む同盟国に対しても「黙認」のリスクを自覚すべきだという警鐘です。

現地からの情報に目をそらさず、一人の市民として問題意識を持ち続けること。

それこそが、最終的な「国際社会の抑止力」となりうるのではないかと強く感じます。

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