「時を超えるゲーム作り」の本質とは?– 流行に振り回されない開発者への提言

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この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Timeless Games


ゲーム業界の「落とし穴」—なぜ流行を追い続けるのは危険なのか?

今回取り上げるTimeless Gamesは、「一瞬で消費されてしまう流行ゲーム」ではなく、「時代に左右されず、長く遊び続けられるゲーム」——いわゆる“timeless games”——を目指すべきだと強く訴えています。
その背景には、ヒットチャートを目指して人員や開発スケジュールが摩耗し、結果として「クラッシュ(=長時間労働)」やバーンアウト(燃え尽き症候群)が業界で恒常化している厳しい現実があります。
とりわけ個人開発者や趣味の制作者の場合、資金力も開発リソースも限られるため、トレンドを“追う”のは「宝くじを当てるようなものだ」と同記事は評しています。

“As a hobbyist, the odds are even more stacked, as you have limited time and energy to chase trends, so making a hit is literally winning the lottery. There’s got to be a better way: don’t make games that quickly go out of date, make games that will be fun even if they are late, that stand the test of time. Make timeless games.”

つまり、「流行を追う開発」こそ最大のリスクであり、今求められているのは「今すぐのヒットより、10年後も楽しまれる作品を作る視点」だというのです。


「これだけはやるな」—記事が警鐘を鳴らす“やらかし”とは

記事中では「どんなゲームを作るべきか」の前に「絶対に作ってはいけないゲーム」を明示しています。

  • 派手な最新技術を使ったゲーム
  • 今最も流行っているもの
  • 大手スタジオがこぞって作っている類型のゲーム
  • 誰もが“自分も作ってみたい“と思うジャンル

“That is, avoid relying on novelty and in crowded competitive spaces.”

つまり、目新しさや話題性、流行といった「短命な価値」に依存したゲーム開発は、時が経てばあっという間に色褪せてしまうのです。
「新技術が登場するたびに、金鉱を夢見る多くの挑戦者が市場に殺到するが、ほとんどは埋もれて消える」――これは、初代iPhoneブームやVR、3D、最新のゲームコンソールが登場した時代を見れば明らかでしょう。
“Survivorship bias”(生存者バイアス)——すなわち、大ヒット作だけが人々の記憶に残り、膨大な数の「負け組」が歴史から消えていく現実も、忘れてはなりません。


時代を超える「普遍性」とは?アナログ、映画、そしてゲームの進化

著者が説く本質は、「本当に普遍的な価値を持つゲーム」とは何かを探る点です。
記事はアナログゲームの「チェス」や「囲碁」、映画の「カサブランカ」「市民ケーン」などを例に、「時代が変わっても最新作に対抗できる魅力」を持つ“クラシック”を紹介します。

“Within any art form, there exist entries that stand the test of time, and are enjoyed by people many years after their first appearances, and bring the same joy and sublime feelings in those who discover it for the first time.”

ところが、ゲーム業界はどうかというと、どうしても「古いゲームが急速に時代遅れになりやすい」傾向が強い。
それは、技術革新やインターフェース進化、プラットフォームの変遷が他の表現メディアよりも遥かに早く、深く業界構造に影響しているためです。

一方近年では、インディーブームやリマスター・リメイクの成功などを受けて、必ずしも「最新技術=売れる」ではなく、「古い様式やニッチなジャンルでもヒットを生み出せる事例」が増えていることが、新しい希望になっています。


名作ゲームに共通する“時を超える設計思想”とは?

Timeless Gamesでは、「単なるノスタルジー」に頼らない“普遍的なフック”が、名作には必ず存在することを個別タイトルの分析で示します。
たとえば、

  • Tetris: 「図形の回転・消去」という知的課題と、単純明快なフィードバックの快感。
  • マリオカート: 「友人と競い合う楽しさ」、さらに技術差があっても全プレイヤーが最後までエンタメとして楽しめる工夫(アイテム、ラバーバンディング…)。
  • Minecraft: シンプルな見た目で「創造と表現への欲求」を最大限に引き出し、世代を超えて長く遊ばれる設計。
  • Dwarf Fortress: 20年かけて作られた、無限に変化する「プロシージャル生成」世界での深い体験。流行やパワフルなグラフィックスとは無縁の、唯一無二の深み。
  • Stardew Valley/牧場物語: 「牧歌的で心温まる」体験を主眼に据え、リラックスできる日常を求める普遍的欲求に応える。
  • StarCraft・Age of Empires II: 一見「遊びにくい」部分(パスファインディングの癖や厳しいルール)が、むしろシリーズ独自のキャラを生む。完璧を目指し欠点を消した途端、ゲーム自体が“凡庸”になってしまうジレンマにも触れています。

“Behind every good game is a hook that taps into something universally appealing, and games that focus on this have a good chance of staying relevant for years.”

一見地味に見える「創造力」「競争」「達成」「癒やし」「社会性」など——人類の根源的な動機こそが、「時を超えるゲーム」の芯に宿っているのです。


今の時代にこそ“タイムレス”が必要な理由−個人開発者が学ぶべき視点

ここからは私自身の考察となります。
2020年代以降、「1人開発から億単位のヒットも狙える時代」としばしば言われますが、その裏では個人・小規模制作チームが「大手と同じ土俵」で速さ・豪華さを競わされ、消耗戦に陥る構造が加速しています。

実際、Steamの新作リリースは日毎に500タイトルを超す日も珍しくなく、大手スタジオも毎年流行りジャンルに“参戦”するたび、SNSで話題になるのは一握りのメガヒットだけです。
生成AIやクラウド技術の進展で「作るだけなら以前より簡単」になった分、消費サイクルも異常な速度で回る。
このような転換期こそ、“タイムレスな本質”——
– 「テーマやメカニクスが根源的動機に結びつく設計」
– 「技術より遊び方や“感情”のコア」
– 「失敗した名作の“どこを残し、何を捨ててリメイクしたか”を徹底分析すること」

……といったポイントこそ、長く愛されるクリエイターになるための最大の資産になるでしょう。

また、「遊びにくさ」や「不思議なクセ」が独自の体験や強いファンコミュニティ生み出している事例(例:初代モンスターハンターの難解操作、ドリームキャストの独特UI…)こそ、未来の“古典”を生む種である可能性もあります。
ユーザーが「なぜそのタイトルを何度でも遊びたくなるのか?」を分解し、普遍的な欲求や繰り返し性、創造力への刺激、社会的な共有感覚などに着目すべきだと考えます。


まとめ:「普遍的価値」を追求する覚悟を持て

最後に著者の「まとめ」の部分を引用しつつ、私なりの言葉で締めくくります。

“Ultimately it’s about decoupling your game from fleeting trends and focusing on universal appeals that stand the test of time. For hobbyists it’s perhaps the best strategy.”

テクノロジーやグラフィックの進化、ネット文化の流行がいかに猛スピードで変化しても、「人はなぜ遊ぶのか」「どんな瞬間に“本当に楽しい”と感じるのか」という部分は変わりません。
結果的に10年、20年と愛されるタイトルの共通点は「時代を超えて誰かの原体験になる/なり続ける価値」を主軸としていることです。

作り手として、流行を追い続けて消耗していくのか。
それとも、「今日売れなくても10年後に本物として評価される、そんな一作」を狙うのか。
これが、今この混沌とした時代のゲーム開発者にとって“最大の問い”ではないでしょうか。

少なくとも、「タイムレスな価値」こそ今の時代に最も不足し、最も大事な「新しさ」そのものだと私は考えています。


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