この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
New Record: Almost 100% EV Registrations in November
100%近い電気自動車登録率——ノルウェーの“歴史的11月”が意味するもの
2025年11月、ノルウェーの乗用車市場で新車登録台数のなんと97.6%が電気自動車(EV)となる異常ともいえる記録が樹立されました。
これは単なる一過性の現象ではなく、「EV普及先進国」としてのノルウェーが新たなステージに突入したことを強く印象づけます。
以下に示すように、今月の登録台数は例年を大きく上回り、しかも従来のガソリン車やディーゼル車を含む「他のパワートレイン」は市場の1%未満にまで縮小しています。
“The share of electric vehicles in all new passenger car registrations reached 97.6% in November, a figure close to the average for this year. However, the absolute number—19,427 new electric vehicles—is far from typical for Norway.”
“All other powertrain types now account for less than 1% of the market.”
この驚異的な数字は自動車産業、気候変動対策、そして私たちの移動の未来を考える上で極めて示唆的です。
驚異的なシェアを支えた複合的要因——税制変更、ディスカウント、経済回復
ノルウェーの2025年11月が「歴史的に強い月」となった背景には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。
まず最も大きなインパクトとなっているのが、今後の税制変更に対する駆け込み需要です。
記事では次のように指摘されています:
“This market surge can be attributed to several factors. According to the OFV, anticipated tax changes in the new year, attractive discount campaigns, improved availability of affordable vehicles, and a gradual economic recovery are the primary drivers.”
要約すると、
– 2026年からの付加価値税(VAT)の変更案への不安
– 年末に向けたメーカーの割引キャンペーン
– 手頃な価格のEVが選択肢として増加
– ノルウェー経済の緩やかな回復
これらが「今買っておこう!」という消費者心理を強く後押ししたと考えられます。
特に「税制変更」は、大きな買い物において購買タイミングを左右する最もクリティカルな要素の1つです。
もし来年以降にEV購入に対する優遇が減れば、20〜30万円単位で負担増となるケースもあり、これは新車市場の動向を一気に変える力を持ちます。
テスラ独走!ノルウェー新車市場を支配するブランド勢力図
この記録的な販売ラッシュを牽引したのは、やはり“あの”テスラです。
11月単月で新車登録6,215台。市場シェアは31.2%、つまり「新車の3台に1台はテスラ」という驚きの数字です。
“Tesla… achieved a market share of 31.2% with 6,215 new registrations—meaning almost one in three new cars came from the US manufacturer.”
さらに、年初来の累計でテスラは既に2023年自己新記録(26,641台)や、2016年にVWがもっていた年間最多記録(26,572台)をも突破し、12月の販売次第で年間3万台超えも現実となってきました。
ノルウェーのEV化は、「テスラ一強」といわれる構図に留まりません。
フォルクスワーゲン(2,198台)、ボルボ(1,867台)、BMW(1,104台)など欧州の名門ブランドも健闘しています。
さらに注目すべきは、BYD、MG、XPengといった中国ブランドがジワジワ存在感を強めている点です。
特に中型SUVセグメントでの台頭は、欧州市場において今後も注目すべき動向となるでしょう。
EV化“97.6%”の本当の意味:ノルウェーで起きているイノベーション
これほど圧倒的なシェアをEVが獲得している現状は、一見「EV普及モデル」の究極形に映りますが、裏側には“ノルウェーならでは”の社会的・経済的背景があります。
なぜノルウェーだけここまで普及できたのか?
- 水力発電比率が高く「再生可能エネルギー」で走れるメリット
- 早くからガソリン車・ディーゼル車への高額課税&EV優遇策(無料充電、道路通行料免除、減税)
これらの「外部環境+政策パッケージ」が重層的に機能し、世界で唯一無二の普及曲線を描いています。
他国でこれがすぐ真似できるかといえば、現状では難しいでしょう。
EVインフラ、再エネ電源の確保、財政に無理のない優遇策設計などは国情によって大きく異なります。
ミドルクラスSUVの激戦区——日本車の存在感は?
EVシフトが進行するノルウェー市場では、「中型SUV」セグメントが実質的な主戦場です。
11月の登録台数TOP10を見ると、テスラModel Y、Model 3を筆頭に、Volvo EX40、VW ID.4、ID.7、Volvo EX30など“欧州ローカルブランド”や中国ブランドの健闘が特筆されます。
“Among models, it comes as no surprise that the Tesla Model Y leads the way… Model 3 follows closely behind… the Volvo EX40… narrowly followed by the VW ID.4… VW ID.7 and Volvo EX30… in close contention.”
一方、トヨタや日産といった日本ブランドの車種は、記事の中では一切話題になっていません。
日本メーカーはハイブリッド車とEVで「二本立て」の構えを保っていますが、このノルウェーのような極端なEV化市場では出遅れ感も否めません。
100%EV社会のインパクト——この動向が世界に問いかけるもの
ここで問うべきは、日本や他国がこの“ノルウェーモデル”から何を学び取れるのか?という点です。
たしかに政策、産業構造、エネルギー資源は全く違います。
しかし、「消費者行動は財政政策のわずかな修正によって劇的に動く」という重要な事実は見逃せません。
また、インフラやエネルギー供給体制の可変性、技術革新のスピード感など——ノルウェーの急進的EV化は多くの実地データと示唆を世界にもたらしています。
例えば、
– 年間2万台のEV新規投入にもかかわらず送電網がもっている
– 急速充電器など充電インフラも同時に進化している
– EV中心社会でも利便性や生活の質が十分に担保されている
このような実社会の「実験結果」は、EVシフトへの懸念や誇張に惑わされがちな我々にとって、貴重な材料です。
結論:ノルウェーの“99% EV化”は未来社会のプレビューモデル
ノルウェーの2025年11月に記録されたほぼ100%の電気自動車新車登録率は、単に一国の話題にとどまりません。
グローバルにEVシフトが不可避となる中、「持続可能×経済合理性×消費者心理」がどう絡み合うかの“ケーススタディ”として極めて大切なデータです。
今後、どの国であれ——
– 財政政策によるEVインセンティブ設計
– インフラと再エネの段階的整備
– 多様な車両ラインナップと価格帯の充実
この3点がEV社会構築の核になることは間違いありません。
私たちもまた、ノルウェーのような“ほぼ完全EV社会”が持つ可能性と課題を冷静に直視し、持続可能な未来に向けて何を優先すべきか考えていく“きっかけ”としたいものです。
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