この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Speed Up Your Rails Testing Workflow with Local CI
「テストが遅い!」から卒業できる?注目の新機能“Local CI”とは
ソフトウェア開発者やテスターの多くが経験しているあるあるストーリー、それは「コードをプッシュした後、CIサービスが失敗を通知」「またタスク切り替えと調査…」というタイムロスの繰り返しです。
その原因の1つに「CI(継続的インテグレーション)サービスの遅さ」があるのは、多くの現場でも共通する悩みではないでしょうか。
今回ご紹介するSpeed Up Your Rails Testing Workflow with Local CIの記事は、この“時間のムダ”を解決するためにRails 8.1で新たに搭載された「Local CI」機能を詳細に解説しています。
従来のクラウドCIの課題や、Local CIの導入・利点・限界まで現場目線で分析されている点がとても実践的です。
この記事では、記事中の主張やデータを引用しつつ、Local CIの本質や開発現場でのインパクトについて、より踏み込んだ考察と現場実装のヒントを交えて、お届けします。
「Local CI」の主張と仕組み−“ごくシンプルなDSLでCIをローカルに再現”
まず記事では、Local CIの登場背景をこう説明しています:
“One of the new and under-heralded features introduced in the recent release of Rails 8.1 is local continuous integration, or local CI. This functionality provides a new DSL to let you specify all the steps needed to check your app, from running tests to verifying code quality to doing security scans — everything you need to let you confidently deploy new updates…”
(最新のRails 8.1で導入された目立たない新機能の1つがLocal CIです。この機能は新しいDSLを提供し、テストの実行、コード品質の確認、セキュリティスキャンまで、アプリのチェックに必要なすべてのステップを指定できる…)
実際の設定ファイル例(config/ci.rb)やbin/ciスクリプトを引用しながら、CLI上でCIの各ステップを自分で組み合わせて実行できることが紹介されています。
例えば、初期設定では
ruby
CI.run do
step "Setup", "bin/setup --skip-server"
step "Style: Ruby", "bin/rubocop"
# ...
end
のように、直感的なDSLで「セットアップ」「コードフォーマッタ(Rubocop)」「セキュリティチェック」を順番に実行できる点が特徴です。
現場の「遅いCI」の原因とLocal CIが拓く生産性革命
SaaS型CIの弱点と、今ローカルCIが意味を持つ理由
クラウドCI(GitHub ActionsやCircleCI等)は低コスト・手軽に導入可能ですが、次のような制約が指摘されています。
“The free and entry-level tiers offered by these services use virtualized environments that are often underpowered and slow, sometimes causing inconsistent results. It’s fairly common to find that these services are one of the primary bottlenecks in a team’s ability to ship.”
(クラウドCIの無料・エントリーレベルプランは、しばしばパワー不足かつ遅く、ときに結果が一貫しない。これらCIサービスが、開発チームのデプロイスピードの主なボトルネックとなることも多い)
さらに、設定ファイルのPR・反映待ち、クラウドCIサーバの遅延等も頻発します。
一方、現代の開発者のPCは多コアCPU/大容量メモリ/高速ストレージとマシンパワーに恵まれており、これをテストに活かさない手はありません。
Local CIは「CIチェックをほぼ即時にローカルで検証できる」という点で、次のタスクや組織の大きな時間節約を導きます。
Local CI導入手順とメンテナンス実務
新規Rails 8.1アプリなら即使えますが、既存アプリ(例ではRails 6.0→8.1)にはアップグレードとbin/rails app:updateの実行が推奨されています。
この記事でも、
“it’s recommended to run the bin/rails app:update task. This task goes through your app’s configuration to determine whether it needs to generate new scripts and configuration files, as well as update existing ones.”
と説明し、「新しいCI関連のconfig/ci.rbやbin/ciスクリプトが生成される」としています。
アップグレード時には、依存Gemのバージョン追従・警告の修正・新しいフレームワークデフォルト(config.load_defaults)への切り替えも丁寧に検証すべきで、記事の手順は現場にとって大変実践的です。
“CI即時実行”の衝撃と実力−
Local CIの高速性・現場メリットと、クラウドCIとの使い分け
テストフィードバック時間が10秒→2分のケースも
記事中、最も説得力があるのはこの実ログです:
“The process takes less than 10 seconds in my development system, but the same steps take over two minutes on GitHub Actions. It might not seem like a huge difference, but the time saved across your development team can be massive over time.”
(ローカルでは10秒未満、GitHub Actionsでは2分以上。同僚全員分の積み重ねで莫大な時間節約に)
これは、頻繁にpush→テスト→修正…のサイクルが求められる開発規模ほど効力を発揮します。特にモノレポや疎結合チーム、CIにキューが溜まりがちな組織では劇的な効果をもたらすでしょう。
開発者個人が「手戻り」を即座に発見できる意義
以下の記述も重要です。
“Having this step fail is a good thing, because I likely would have forgotten to check Rubocop before pushing these changes to the repository.”
(このステップが失敗したのは“良いこと”。リポジトリにPushする前にRubocopを忘れるところだった)
これは「Push前&レビュー前のセルフチェック」の品質担保とリードタイム短縮を同時に叶える点で極めて意義深い。
Lint/テスト失敗でPRが止まる「やり直しコスト」が圧縮され、開発全体のリズムが加速します。
GitHubと連携した「Signoff」でCIパスもプッシュ可
記事では、Local CI結果を「GitHub Commit Status」として反映するgh-handoff拡張にも言及されています。
現状、クラウドCIによるPR自動ブロック(status必須合格)を運用するチームは多いですが、Local CI利用時にもgh-handoffを利用してローカル完結CIパス→PRマージ許可の運用が実現可能です。
Local CIの現実的な限界とクラウドCIの残る役目
とはいえ、Local CIにも向かないケースは存在します。
“Multi-architecture builds”、 “Complex builds”、 “Artifact generation”…
- マルチアーキテクチャ
- 例)ARM Macで開発し、Linux X64本番にデプロイ…のような場合、ローカルCIだと本番環境との差分が確認できない
- 複雑なテスト
- E2Eで外部サービス/コンテナ連携多数…等は、全てをローカルで再現するのが困難
- 成果物生成/共有
- スクリーンショット・ログ等、CIで生成した成果物のチーム共有はクラウドCIの標準機能を素直に使う方が効率的
従って、Local CIは「セルフチェック」「事前品質担保」には極めて有効ですが、デプロイ前最終CIや共有成果物管理などクラウドCIの役割まで完全に代替するものではない、と言えます。
結論:ローカルとクラウド、二刀流CIの“賢い使い分け”が令和の開発フロー
Rails 8.1のLocal CIは、クラウドCI依存で「テストが遅すぎて…」と悩むすべての現場にとって、即時性とセルフケアの新たな武器となります。
Pull Request作成前の高速フィードバック、手戻り撲滅、セルフ品質担保が、ほんの数行のconfig/ci.rbとコマンド1つで実現できる、というのは現代の開発文化にぴったりの発明でしょう。
一方で、「本番アーキテクチャ検証」や「全社横断テスト」「成果物共有」といった分野は、依然としてクラウドCIの専門領域です。
【現場Tips・示唆】
– PR前のセルフチェック、チーム内コンベンション遵守にはLocal CI
– 本番リリースや横断検証、成果物管理にはクラウドCI
– GitHubと補助ツールgh-handoffによる両者連携で“二刀流フロー”が構築可
「CI待ちストレス」や「Push後リカバリー地獄」に悩んでいる方こそ、迷わずRails 8.1+Local CIの導入を一度体験してみることを強くおすすめします。
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