この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Open Printer
プリンターの常識を覆す!? 「Open Printer」とは何者か
みなさんは、自宅やオフィスで使われているプリンターについて考えたことがあるでしょうか。
「動かなくなった」「インクが高い」「修理不可能」など、プリンターには不満が尽きません。
そして多くの人は、買い替えるしかない状況に追い込まれがちです。
そんな「使い捨て文化」に一石を投じるのが、オープンソースのインクジェットプリンター「Open Printer」です。
この記事は、プリンターユーザーがメーカーの制約から解放されるという新たな選択肢を提示しています。
より詳しく見ていきましょう。
メーカーの支配にNO!記事が語る強烈な主張
まず、記事の主張を要約しつつ引用します。
“This project aims to reclaim our everyday tools. As such, it features no proprietary drivers, no cartridge DRM that locks you to a single vendor and is designed to never become obsolete. The Open Printer is built for longevity and customizability, ensuring that it remains fully under your control.”
「このプロジェクトは、私たちの日常的なツールを取り戻すことを目指している。そのため、専用ドライバーもなければ、特定ベンダーへの囲い込みにつながるカートリッジのDRMも存在しない。そして決して時代遅れにならない設計がなされている。Open Printerは、長寿命性とカスタマイズ性を念頭に置いて作られており、完全にあなた自身の管理下に置くことができる。」
さらに、特徴についても具体的な仕様が挙げられています。
“Open Printer can be assembled, customized, and repaired to extend its life. … you can choose between standard sheets or a paper roll, giving you an incredible degree of flexibility. Create not only standard documents, but also banners or strips.”
「Open Printerは組み立て・カスタマイズ・修理ができ、その寿命を延ばすことができる。標準的な用紙や紙ロールのどちらも選択でき、その柔軟性は驚くべきものだ。標準的な文書だけでなく、バナーや帯状印刷にも使える。」
つまり、旧来のプリンターの「ブラックボックス性」やメーカーによる囲い込み、消耗品縛り(特にインクカートリッジのメーカー縛り)に真っ向から対抗しています。
「修理できる」「いじれる」の意義――時代の潮流と背景に迫る
なぜ今オープンソースプリンターが注目されるのでしょうか。
背景には少なくとも三つの大きな要因があります。
1. プリンター問題:使い捨てと独占
大手プリンターメーカーは、長年にわたって専用カートリッジや専用ドライバ、各種独自のメンテナンス体系を強要してきました。
特に、インクカートリッジのICチップによる“デジタル著作権管理(DRM)”は、互換品使用を困難にし、無駄なごみと高いランニングコストをユーザーに強いています。
2. 修理する権利(Right to Repair)の高まり
グローバル規模で「修理する権利(Right to Repair)」運動が加速しています。
消費者が購入した家電や機械を自由に修理し、寿命を延ばすことは、環境保護・コスト削減・イノベーション活性化の観点でも重要です。
Open Printerの思想は、まさにこの潮流のど真ん中です。
3. オープンソース・ハードウェアの成熟
Raspberry Piや各種マイコンの普及をはじめ、オープンソースハードウェアの環境が整ってきました。
3DプリンターやCNCなどと同じく、ユーザー自身がハード・ソフト両面でカスタマイズ可能な製品が増えつつあります。
Open Printerは、STM32 MCUやRaspberry Pi Zero Wなどの広く普及したパーツを採用し、メンテナンスの容易さとドキュメントの充実(クリエイティブ・コモンズ BY-NC-SA 4.0ライセンスで回路図や設計を公開)を打ち出しています。
実際に「Open Printer」は現場でどう役立つ?私なりの考察
プリンターを巡る個人的な体験や周囲の声にも、Open Printerの提供する価値は鮮烈です。
■ 「買い替え被害」はこれで終わるのか
私たちは“消耗品ビジネスモデル”に苦しめられてきました。
たとえば僕の身の回りでは、プリンターの動作不良やインク切れをきっかけに、年間1~2回は買い替えを迫られるとの声すらあります。
メーカー純正以外のカートリッジ排除やエラー連発は、多くの人の不満ポイントです。
Open Printerは「DRM無し」「インク手詰めOK」「構造を明かしている」と、体制そのものを“透明化”し、わざと壊れやすくする計画的陳腐化(Planned Obsolescence)と訣別しています。
■ メーカー依存からの自立:モジュール化の意味
HP 63(US)、HP 302(Europe)など既製インクカートリッジ対応と、標準部品採用の姿勢は現場にとって現実的で有用です。
パソコン、スマホ、Linuxなど多数のプラットフォーム(CUPS対応)との互換性を確保する点も、オープンソースならではの魅力です。
また、「壁に設置」「デスクに設置」「紙ロール・標準用紙どちらでもOK」などの柔軟性は、商業施設やアトリエ、イベント現場など多様なユースケースで活きてきます。
■ “みんなで育てる道具”の価値
エンドユーザーが設計図やソフト改良に参加でき、“育てていく道具”は工業製品として極めて稀です。
これは3Dプリンター界の「RepRap」プロジェクトを想起させるアプローチであり、真に「自分のもの」として使い込む喜びがあります。
今後、例えば小規模印刷業、教育現場、アーティストコミュニティ、ファブラボ、修理ワークショップ等からの、独自のプリンター改良や周辺機器プロジェクトが生む波及効果は計り知れない、そう感じます。
結局どうする?――「プリンターを選ぶ自由」とは何か
最後に、Open Printerの記事から得られる最大の教訓を考えます。
便利さを求めて“ブラックボックス化・囲い込み”を容認しがちな現代。
ですが本来、私たちユーザーは「自分で判断し、選び、直し、改良する自由」を持っているはずです。
Open Printerは、その“失われた権利”への現実的な一歩。
市販品では到底たどり着けなかった領域――例えば物理的な細部までカスタムしたプリントシステムや、全く新しいビジネスモデル(サブスクリプションでなくコミュニティベースのサポートなど)をも可能にします。
もちろん、「自分でメンテナンスできる」「構造がオープン」だからこそ責任も伴いますが、それによって生まれる“ものを大切にする”カルチャーや、イノベーションの機会こそが、最大の価値でしょう。
ぜひ一度、Open Printerのプロジェクトページを覗いてみてはいかがでしょうか?
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