この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Spain moves to ban under-16s from social media
欧州で高まる「子どもとSNS」規制の波
今回ご紹介するのは、スペイン政府が16歳未満のソーシャルメディア利用を全面的に禁止する政策案を打ち出したというニュースです。
この記事によれば、「Spain joins a growing chorus of European countries hardening their approach to restricting kids online.」とある通り、スペインだけでなく、デンマークやフランス、ポルトガルといった欧州各国も同様の規制強化の波に乗っています。
SNSの利用制限は単なる年齢制限にとどまらず、「to regain control of the digital space」と政府が表明するほど、社会全体としてデジタル空間の規範を再構築しようとする試みなのです。
サンチェス首相の主張と新たな法的仕組み
スペインが提案する規制パッケージの特徴的な点は、年齢制限のみならずソーシャルメディア運営者への責任追及を明確に打ち出していることです。
記事から引用します。
“Governments must stop turning a blind eye to the toxic content being shared,”
That includes a legislative proposal to hold social media executives legally accountable for the illegal content shared on their platforms, with a new tool to track the spread of disinformation, hate speech or child pornography on social networks. It also proposes criminalizing the manipulation of algorithms and amplification of illegal content.
(「政府は有害なコンテンツの氾濫を無視することをやめるべきだ」とし、SNS運営者に違法コンテンツの責任を法的に負わせる法案が盛り込まれ、さらに情報操作やアルゴリズムを用いた違法コンテンツの拡散自体も犯罪化する提案も含まれています。)
これにより、プラットフォームによる悪意ある情報拡散への抑止力を持たせる意図が明確です。
気になるのは「自由」と「保護」のバランス
今回の動きの背景には、SNSが子どもに与える悪影響の深刻化——誤情報の拡散、ヘイトスピーチ、有害なコンテンツへの接触、自傷・自殺リスクの増加などが指摘されてきました。
一方、現代の子どもたちはSNSを通じてコミュニケーション力を養い、知見を広げています。
ここで問われるのは、子どもの「成長機会」と「安全・保護」のバランスです。
とりわけ、ビッグテック企業がアルゴリズムでトラフィック・収益を追求する現状では、「Spreading hate must come at a cost — a legal cost, as well as an economic and ethical cost — that platforms can no longer afford to ignore(ヘイトの拡散には法的・経済的・倫理的なコストを負わせるべき)」という規制当局のメッセージは強い意味を持ちます。
こうした中でEU全体でも「The EU’s Digital Services Act requires platforms to mitigate risks from online content」という枠組みが整備され、プラットフォームにリスク軽減の義務化が進んでいます(この記事の別の引用箇所参照)。
あえて問い直したい:子どもを遠ざけるだけで守れるのか?
個人的な観点として、「年齢制限の徹底」や「プラットフォーム責任の強化」は一定の効果がある一方、これだけで子どもをインターネットのリスクから守り切れるのか、という点は再考の余地が大きいと考えます。
現実には、年齢詐称や親の同意の形骸化を完全に防ぐことは困難です。
また、SNSから「合法的に」排除されても、インターネットに接続し続けられる限り、YouTubeやチャットアプリ経由で同種のリスクに晒される可能性も残ります。
むしろ、社会全体・家庭・学校による「リテラシー教育」「自制力育成」「健全な逃げ場の確保」といった地道なアプローチの拡充こそが、本質的な解決につながるはずです。
さらに、SNS自体の設計——アルゴリズムの透明性向上や、利用時間・機能制限の自己管理ツール拡充など——も本来は強化が不可欠でしょう。
規制と並行して、子ども自身に選択権や自衛の知恵を持たせる社会づくりが重要です。
規制強化だけでは終わらない、これからの課題と日本への示唆
スペインを含むヨーロッパ諸国が次々とSNS利用規制を打ち出す現状は、グローバルに見ても注目に値します。
「スペインの方針は極端だ」と感じる読者もいるかもしれませんが、背景には実際の被害や社会の不安拡大があり、バランスを取るための苦慮が読み取れます。
同時に、規制が厳しくなればなるほど、一部の子どもたちがかえってアウトローな空間へ流れたり、十分なサポートを受けられないまま孤立リスクを高めたりする懸念も見過ごせません。
日本でも、国・自治体レベルでSNS利用のあり方やリスク教育、プラットフォーム規制の議論が不可欠となることは間違いないでしょう。
また、家庭や教育機関、そしてIT企業にとっても、責任と役割の再定義が求められていきます。
「規制か自由か」という単純な二項対立ではなく、「どうすれば子どもたちを守りつつ、デジタル時代を生き抜く力を育む社会を作れるのか?」という問いが、今後ますます重みを増してくるはずです。
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