この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Physical address issues with Mercury Bank
銀行口座開設の新たな壁?—Mercury Bankと住所情報の大問題
海外でビジネスを展開し、アメリカの銀行口座を活用している方にとって、思わぬ衝撃となっているのが今回話題となったMercury Bankの“物理的住所”要件です。
特に2024年1月1日のCorporate Transparency Act(企業透明化法)施行以降、銀行が顧客情報の精査を強化している状況にあります。
なかでも、Mercury Bankは国際的なビジネスオーナーにとって人気だったものの、昨今の動きは大きな波紋を呼んでいます。
この記事では、原文記事の主張を引用しつつ、なぜこの問題が注目されているのか、背景や今後の対策まで深く掘り下げていきます。
まさかの規制強化!Mercury Bankの主張と現実
まず記事中から、銀行による現住所確認の強化について、以下のような説明がなされています:
“In recent months, and especially after the Corporate Transparency Act became effective on January 1, 2024, banks have been auditing the physical addresses on file with their customers’ bank accounts.”
(ここ数ヶ月、特に2024年1月1日のCorporate Transparency Act施行以降、銀行は顧客の口座記録にある物理住所の監査を行っています。)
さらに、Mercury Bank自身がこの監査強化の中で、従来よりも国際的な顧客に対して厳しいアプローチを取っていることが指摘されています:
“Mercury is one bank that we have seen causing ripples in the international community. The bank used to be one of the favorites for internationals when it comes to opening business bank accounts. However, after they switched to a new underwriting bank last year, it is now significantly more difficult to open a business bank account there.”
(Mercuryは国際コミュニティに波紋を広げている銀行の一つです。以前は国際ビジネスに人気でしたが、昨年アンダーライティングバンクを変更してからは、口座開設が著しく難しくなりました。)
背景で読み解く―住所問題はなぜ起きているのか?
なぜ今、こうした“物理的住所”への厳格な確認がアメリカの銀行、とりわけMercury Bankで巻き起こっているのでしょうか。
記事では、特にCorporate Transparency Actの施行がターニングポイントとなったことが強調されています。
この法律は、いわゆる実体のない法人や匿名口座を使ったマネーロンダリング・テロ資金供与防止を主目的とし、法人登記や銀行口座開設の際に「実在の所在地」を明確にする義務を厳格化しました。
多くのフィンテック企業や新興銀行は、従来から国際的な起業家やノマドワーカーに柔軟な対応をとり、VPM(Virtual Post Mail)などの商用住所サービスでも口座開設ができた時期があります。
しかし、銀行に対する監督基準が一段と高くなったことで、「書類上の住所」ではなく「物理的な居住・営業実態」の確認(Physical Address Verification)が求められ、運用基準が大きく変わったのです。
特に、Mercuryのようにアンダーライター(実際に銀行業務を支える既存バンク)を変更した場合、新たなアンダーライター独自のリスク管理策も組み合わさり、一気に審査が厳格化されやすいのです。
“実際どうしたらいいの?”現場感覚のアドバイスと現実的な課題
原文記事は、困っているユーザーに対して具体的な対応策を2つ挙げています。
1つ目は“銀行が許容する範囲で必要書類を提出すること”、2つ目は“Mercury Bank以外の選択肢を本気で検討すること”です。
“Based on the email, you can use your international home address to satisfy your physical address requirement. U.S. based address is not required. It will depend on whether your country is accepted by Mercury in this case.”
(Mercuryの案内メールの内容では、米国内住所でなくとも、国際的な自宅住所が認められる場合がある。ただし、国ごとの受入要否に左右される。)
ただし、この基準が今後も継続される保証はなく、また「国際住所OK」としながら、結局は特定国除外や追加書類提出要求が殺到することも容易に想定できます。
さらに記事は次のように警鐘を鳴らします:
“I would recommend that you start looking at other banks and options. …Fintechs generally are not the best choices to go with simply because they use an underwriting bank that may have different objectives from the fintechs’ own interests. …traditional banks, you will likely have fewer issues in the future even if they are strict at the beginning.”
(他の銀行選択肢の検討を推奨する。フィンテック系銀行は基盤銀行との利害不一致でトラブルになりやすいが、伝統的な銀行の方が今後のリスクは小さい可能性が高い。)
ここから読み取れる現実は、「オンライン・フィンテック万能」の幻想が崩れ、審査の融通性よりも、信頼性や持続可能性を重視した銀行選びが問われる局面に入りつつあるということです。
一歩進んだリスク分散戦略―実務家視点で考える
個人的に最も共感できたのが、この記事が提案する“2銀行体制(2口座ポリシー)”の重要性です。
“I would highly recommend that you have at least 2 bank accounts. In case one decides to flag you or close your account, your business won’t be affected since you can switch to the other bank while you resolve the issue with the problematic bank or look for a new bank.”
(最低でも2つの銀行口座を持つべきだ。どちらか一方に問題やアカウント凍結が発生しても、もう一方に切替えて事業継続ができる。)
過去にも、PayoneerやTransferWise(現Wise)などでアカウント凍結・一時停止が世を騒がせたように、アメリカの銀行も突然の規則変更や追加審査で事業資金が“ロック”されるのは珍しい話ではありません。
これは、特に国際送金量の多いEC事業者やリモートカンパニーにとって死活問題となります。
実際に管理コストや経理上の面倒と引き換えにでも、複数口座での分散管理は今後ますます重要になるでしょう。
また、あえて厳しい伝統的銀行口座も併用することで、バックアップのみならず、金融当局からの長期的信頼も得やすくなります。
Mercuy Bank時代の終焉?—日本人起業家にとっての教訓と今後の選択肢
この記事全体を通し、“Mercury神話”とも呼ばれた柔軟路線が転換した今、国際的な起業家や日本人フリーランスが知っておくべきポイントは明確です。
- 新興フィンテック単独利用のリスク増大
- 法制度変化に即応した「住所要件」の見直し
- アカウント凍結への備えとしての複数口座戦略
- そして“目先の楽さ”よりも“持続性と信用”を重視した銀行選び
テクノロジーが進化し、国境を越えてビジネスが加速する一方、規制当局のカウンターも着実に強化されています。
「手軽にアメリカ口座が持てる時代」は確かに便利でしたが、特に2024年以降は“実態を伴う信用”がさらに求められる時代に突入したと感じます。
読者の方も、もし今後銀行口座開設やアップデートの際に、「この銀行、こんな確認が厳しいの!?」と思ったら、時代そのものが変わり始めているサインだと受け止め、早め早めに手を打つことを強くおすすめします。
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