この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
South Korea developing app that shows real-time location of stalkers
まさかの新アプリ登場!ストーカー被害者が加害者の位置をリアルタイム追跡へ
ストーカー犯罪の深刻さで知られる韓国が、世界的にも注目される新しい取り組みを始めました。
それは、ストーカー被害者がスマートフォンで”リアルタイムに加害者の位置を地図上で確認できる”という前例のないシステムの開発です。
従来の警告系サービスとは一線を画す、抜本的な対策といえるでしょう。
画期的な法改正と新アプリの中身:記事の主張をピックアップ
今回のSouth Korea developing app that shows real-time location of stalkersの記事では、韓国法務省が「ストーカー犯罪の加害者に装着させた電子デバイスと連動し、被害者が加害者の位置情報をアプリで即時に閲覧できる」新サービスを2025年以内にも導入する予定だと述べています。
“Under a revised law, victims will be allowed to see their stalker’s location if they’re nearby”
(法改正により、被害者は加害者が接近している場合、追跡者の位置情報を確認できるようになる)
また、いままでは「ストーカーが近くにいるとテキストメッセージで警告が来るだけ」だったのが、どちらの方向か分からず避難が遅れる恐れがありました。
“This makes it difficult for victims to determine the direction of the perpetrator, the justice ministry said in a statement.”
これを解決するため、
“victims will be allowed to see their stalker’s location on a map with their smartphones, allowing them to evacuate to safety”
とし、地図アプリとして具体的な避難判断や警察通報にも連動できるよう、国の緊急ホットラインとも統合する計画です。
被害の現実と法規制の変化――なぜ韓国がここまで踏み込むのか
なぜ、ここまで「見える化」を進める必要があったのでしょうか。
実は韓国ではここ数年、ストーカーが引き金となる殺人や重大事件が社会問題化しています。
記事でも、「被害女性が何度も警察に危険を訴えたにも関わらず、“低リスク”と判断され保護されなかった結果、命を奪われた事件」が紹介されています。
ストーカー規制法が2021年に新設され、
“up to three years of jail for offenders and a maximum fine of 30 million Korean won”
(懲役3年や3,000万ウォンの罰金といった重罰も設けられた)
という厳罰化でしたが、施行後も「警察・検察の腰の重さ」や「証拠集めのハードル」から、抑止効果が限定的でした。
こうした背景から、2023年には「ストーカーを起訴・摘発しやすいよう基準を緩和」するなど、対応は強化されています。
その成果として、
“The number of reports against stalkers have surged since then, from 7,600 in 2022 to more than 13,000 last year”
(通報件数が7,600件から13,000件超に倍増)
と、国民の危機感が深まっている様子が数字にも現れています。
テクノロジーによる被害者保護の最前線――現実的な効果と新たなリスク
このストーカー追跡アプリの導入には大きな意義があります。
まず、「被害者自身が自分の行動を能動的に選択できる」という主体性の回復。
地図上で加害者の接近方向や距離が分かれば、「逃げるべき安全なルート」や「警察・周囲への連絡タイミング」を自分で判断できます。
現実にストーカー被害者の多くが「どのタイミングで危険なのか分からず不安」「逃げた先に加害者が待ち伏せしていた」といった、具体的課題を抱えているので、その実効性は非常に高いでしょう。
また、国家の緊急通報システムとデータ共有する設計も画期的です。
万が一、加害者が急接近した場合そのまま警察官が自動的に配備されるなど、リアルタイムな公的介入が可能となります。
一方、この仕組みには懸念も残ります。
例えば、
– 被害者のスマホがハッキングされ、ストーカー以外の第三者にも加害者の位置情報が流出するリスク
– 電子デバイスの装着義務が「重大な犯罪が前提」でなければならない点(全てのストーカーに装着義務があるわけでない)
– 加害者の逆恨みといった二次被害をどう防ぐか?
など、慎重な実装が不可欠です。
実はテクノロジーを用いた暴力対策は海外でも試行錯誤が続いています。
アメリカや一部欧州諸国では、「保護観察中の元DV加害者」をGPSでモニタリングするケースはありますが、被害者自身が“自分専用のアプリでリアルタイム追跡”できるというのは極めて珍しいアプローチです。
日本や他国への示唆は?安全・プライバシー両立の葛藤
この韓国の試みが意味するものは大きいです。
日本でもストーカー規制法の改正が進みつつありますが、依然として警告や接近禁止命令など「紙のルール」頼みが現状です。
筆者が特に注目するのは、こうしたテクノロジー主導の仕組みが、
– 被害者自身が「今、何が起きているのか」を正確に把握できる
– 監視の強化ではなく、“自己決定権”の回復を志向している
という点です。
一方で、「監視社会化」「個人情報保護」という物流的・倫理的課題も見逃せません。
弱者を守るためにIoTやスマホアプリをどこまで使うべきか?
そのバランス感覚こそが、今後グローバルに問われるでしょう。
社会は「見える化」のその先へ――私たちが考えるべきこと
ストーカー対策を巡る韓国の動向は「自分ゴト」として学ぶべき部分が多いです。
単なる“最先端技術”にとどまらず、いかに法制度や社会全体の意識変革と歩調を合わせるのかが成否のカギとなります。
もし読者の皆さんや社会全体が、
「被害の可視化は心理的安全性の維持に欠かせない」という発想を持てれば、テクノロジーの活用にも積極的になれるでしょう。
その一方で、「監視」と「自由」の線引きも、制度設計・社会コンセンサスづくりの中で丁寧に議論することが求められます。
日本を含めたあらゆる国で、被害者支援と人権保護を両立させる新たなモデルが必要となる時代が、ここから始まっているのです。
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