この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Human Era Calendar
なぜ今「ヒューマン・エラ・カレンダー」なのか?
私たちが日々使っている西暦(グレゴリオ暦)は、キリストの誕生が起点です。
ところが、歴史や科学の視点で世界の出来事を眺めたいとき、この「西暦」という“物差し”が本当にふさわしいのか?と疑問に思ったことはありませんか。
今回紹介する「Human Era Calendar(ヒューマン・エラ・カレンダー、またはホロシーン暦)」は、現存する西暦に1万年を足して数える方式で、人類史をより俯瞰して捉えるカレンダーです。
意外と知られていませんが、科学界隈や一部の“歴史ガチ勢”に人気があり、最近は「Windows用アプリ」まで一般公開されています(しかもわずか3KB!)。
西暦の壁を越え、「人類の時代」をカレンダーで可視化することで、見えてくる世界観とはどんなものなのでしょうか?
西暦に+10,000年!? ―Human Era Calendarの主張と特徴
この記事では、ヒューマン・エラ・カレンダー(Human Era Calendar, HEC)の核となる発想が明快に述べられています。
以下、原文を引用します。
The Human Era Calendar (also known as the Holocene Calendar), is a year numbering system that adds exactly 10,000 years to the currently dominant AD numbering scheme, placing its first year near the beginning of the Holocene geological epoch and the Neolithic Revolution, when humans transitioned from a hunter-gatherer lifestyle to agriculture and fixed settlements.
すなわち、「ヒューマン・エラ・カレンダーは西暦に10,000年を加算し、その初年を『完新世(ホロシーン)』の始まり――すなわちネオリシック革命(農耕・定住化の始まり)――に設定する」と説明されています。
たとえば、西暦2024年はHEC(Human Era Calendar)だと12,024年となります。
グレゴリオ暦「1916年」は「11916年」、「1589年」は「11589年」となり、“過去数千年の歴史”が一気に“1万年以上の時間軸”で表現できるのが特徴です。
なぜ「人類の時代」から数えるのか?――歴史・科学・社会へのインパクト
科学的・教育的な意義
HECの大きな利点は、「人類による文明史と地質学的な時代区分(完新世)」をピタリと重ねてくれる点にあります。
完新世(約1万1700年前~現在)は、地質学的に安定し気候も温暖になり、人類が“集団的な農業文明”へ舵を切った、いわば「現在の私たちの基礎が出来た時代」です。
西暦ではせいぜい2~3000年の歴史しか見えませんが、「1万年」というスケール感を持つことで、私たちの“今”がどれほど短いか、逆に“人間社会の持続”がいかに特異かを実感しやすくなります。
たとえば「ピラミッド建設が起きた時期」もHECで読み解くと、単なる“遥か昔”だけでなく、「人類史のどのフェーズで何が始まったのか?」という視点で時間を捉えやすくなるのです。
宗教・文化の“物差し”からの脱却
もう一点、HECの重要な側面は「宗教・文化バイアスの排除」です。
グレゴリオ暦はキリスト教の世界観に基づいていますが、HECでは“人類(Homo sapiens)”の活動が本格化した頃を起点としています。
これは、世界中の人々がより“ニュートラル”な時間軸で歴史を共有できる道筋を示していると言えるでしょう。
改めて問う:時間とは誰のものか? ― 普及への課題と批評
実用面の課題
HECは画期的ですが、現実世界で普及・定着するには高いハードルがあります。
第一に、「西暦+10,000」という単純計算で済むものの、西暦との互換の煩雑さ(たとえば重要な歴史書や公文書はすべて西暦ベース)を考えると、社会全体への展開には実用的な仕組みが不可欠です。
また、1万年単位の年号は日常の感覚としては馴染みにくい面もあるでしょう。
もし会社の期末が「12024年度」となったら、思わず混乱してしまうかもしれません。
教育・啓発での可能性
とはいえ、HECの存在意義は「新しい意識を生み出すこと」にあります。
「西暦の感覚」の外に出てみることで、「人類の歩みを長い時間軸で考えるクセ」を私たちに与えてくれます。
SDGsや気候変動、人工知能や宇宙開発といった「超長期視点」を必要とする現代社会では、HEC的な考え方がむしろ必須になりつつあるのではないでしょうか。
短期的な“今”だけに縛られない思考を持つ重要性
日々の忙しさで「今月・今年」だけを見ていると、つい「自分たちは特別な時代を生きている」と錯覚しがちです。
でもHECを使えば、「私たちの文明自体も“たった1〜2万年”の出来事」「私たちの今も時間軸の点」でしかないと気づかされます。
これは謙虚さだけでなく、人類の長い歴史と未来への“責任”を意識させる契機でもあるはずです。
「1万年ものまなざし」が、これからの時代を拓くかも?
ヒューマン・エラ・カレンダーは、私たちの時間感覚を広げ、歴史や科学、文明を“より長いまなざし”で再評価するユニークな試みです。
日常生活の標準になるにはハードルも高いですが、「歴史を学ぶ」「これからの人類と地球の未来を考える」といった文脈では、極めて有益な示唆を与えてくれます。
壮大すぎてピンと来ないかもしれませんが、日々の出来事の意義や、自分たちの立ち位置を再考するきっかけになるのは間違いありません。
「たった数十年」ではなく「1万年以上の人類史」で物事を見てみる。
そこから得られる視点は、あなたの発想もきっと広げてくれるはずです。
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