「ユーザーのためのインターネット」を目指すKagi Specialsとは?――“プライバシー重視”という新しい選択肢

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この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
Kagi Specials


1. 「フレンドリーなウェブ」へ変革!? Kagi Specialsの挑戦

今回ご紹介するのは、検索サービス「Kagi」が2025年9月に公式ブログで発表した「Kagi Specials」という取り組みです。

これは、ウェブ利用者のプライバシー保護を重視する各種プロダクトを厳選し、Kagiユーザーに向けてお得な特典とともに紹介する新しい仕組み。

一言でいえば、「ユーザーの権利とプライバシーを最優先にする」企業のネットワークを広げ、これに共鳴する人々を集めていこうというプロジェクトです。

最近「プライバシー侵害」や「個人データの無断利用」が社会課題になっていますが、そうした風潮に明確にNOを突きつける取り組みであり、日本のウェブユーザーにも示唆に富む内容となっています。


2. Kagi公式の主張――「利益よりも信念」「“友情”ベースの提携」

Kagi Specialsの概要として、公式記事では次のように述べられています。

“Nothing excites us more than bringing together people who believe the web should respect its users and put their interests first. At a time where it feels like a daunting task to find such products and services, Kagi Specials is our way of making that search easier with a handpicked set of friendly companies who share our values and are working toward a healthier, more ethical web.”
(引用:Kagi Specials

また、同記事では次のようにも書かれています。

“Unlike typical programs that prioritize profit over principles, Kagi Specials highlights privacy-first products that offer quality services with transparent business practices.”
(引用:Kagi Specials

そして最も注目すべき記述がこちらです。

“Just to be clear: there’s no money changing hands here. We’ve partnered with these companies because we believe in what they’re doing, share similar values, and think our respective communities would naturally appreciate what each other has to offer.”
(引用:Kagi Specials

つまりKagiは、単なる「企業間のビジネス提携」ではなく、「理念の共有と相互支持」に基づいてこのネットワークを形成しているのです。


3. 何が画期的なのか?――従来型インターネットサービスと決定的な違い

Kagi Specialsの斬新さは、次の2点に集約されます。

(1) 利益至上主義から「価値共感型」へ

多くのIT系の「提携」や「コラボレーション」は、最終的に利益や顧客数、データのシェアなど経済的な“損得勘定”がベースにあります。

しかしKagi Specialsでは、その点を明確に否定しています。

彼らは「利益のための提携」ではなく、“プライバシー重視”という価値観への共感を原動力に動いているのです。

記事にもある通り、“there’s no money changing hands here”(金銭授受はない)という点が透明性を高めており、提携の純度を感じさせます。

(2) “個人情報を守る”サービスだけを厳選

Kagi Specialsで紹介されるのは「No Surveillance, No Ads, No Selling Your Data, and Products Designed with the User in Mind(監視なし、広告なし、データ売却なし、ユーザー本位の設計)」を厳守するサービスのみ。

たとえば第一号パートナーとして取り上げられたEnteは、「エンドツーエンド暗号化」「鍵が絶対に端末から離れない」「広告もデータマイニングも一切ない」をうたうフォトストレージです。

有料課金制による正当なサービス提供と、徹底したプライバシー重視の姿勢が、今日の多くのウェブサービス(無料=広告モデル=個人データ収集)とは“決定的に異なる”ことは明らかです。


4. 新しい時代の価値観――本当にユーザーの利益は守れるのか?

私自身、このプロジェクトには複数の高い意義を感じますが、一方でいくつかの現実的な課題も考えざるを得ません。

(1) プライバシー優先の波は本物か

現代のインターネットの発展は、「無料」と「便利さ」と引き換えに、私たちの個人情報を“商品化”するビジネスモデルの上に成り立っています。

Google、Facebook(Meta)、YouTubeといった多くのサービスが、「ユーザーの目の前に最適化された広告」を表示するために、Web閲覧や検索キーワード等の膨大なデータを“必然的に”収集し続けてきました。

このモデルが大きく問われているのは確かですが、正直なところ「無料で使いたい」という多数派の消費者感覚が温存されているのも事実です。

(2) ビジネスサイドのサステナビリティは?

プライバシーを徹底的に重視したビジネスモデルは、しばしば有料サブスクリプション一本となります。

記事で紹介されたEnteもその代表例ですが、この形は今後インターネット全体で拡大していくのか――ここが最大の分岐点です。

特定少数の熱心なユーザー層だけでなく、より多くの“ふつうの”利用者が「プライバシーの重要性」を認識し、対価を払う文化をどうやって定着させるか。

この壁をどう乗り越えるかが、明確な課題と言えます。

(3) サービス同士の連携・発展可能性

Kagi Specialsの場合、「提携先同士がコミュニティを紹介しあうことで、エコシステム全体が豊かになる」との記述がありました。

例えば「検索エンジン(Kagi)」と「写真ストレージ(Ente)」の“価値観による連携”は、今後「メール、カレンダー、メモ、クラウド」など個人の情報インフラ全体に波及するポテンシャルがあります。

「理念のネットワーク」が実際にユースケース全体をカバーできるのか。
競合サービスがどう動くのか。
今後の動向が注目されるポイントです。


5. 「自分で選択するインターネット」へ――読者への示唆

結論として、Kagi Specialsは「利益のためにユーザーの情報を“勝手に使う”」現代ウェブの構造を、ユーザー主導へとゆるやかに転換しようとする先進的な取り組みだと言えます。

自分がネットで使うサービス1つ1つが、「本当にプライバシーを守っているか」今一度目を向けてみる。

無料の裏側にある“隠れたトレードオフ”を理解し、必要なら対価を払ってでもプライバシーを優先する企業を応援する――そうした「消費者としての選択」が、今後ますます重要な意味を持つ時代になっていくでしょう。

今やインターネット上には「安さ(無料)」だけでなく「誠実さ」「共感性」という新たな価値基準が求められています。

Kagi Specialsのこうしたアプローチは、その流れを加速し、「信用できるウェブサービスとの出会い」を後押しする一つの羅針盤となるのではないでしょうか。

Kagiのように“Your data is yours.” という姿勢を前面に押し出すプレイヤーが増えていけば、日本のネットサービスのあり方にも必ず波及効果が生まれるはずです。

ぜひ一人一人が「どんなウェブを選びたいか」、自分なりに考えてみてください。


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