この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
‘Nestflix’: Peregrine falcon livestream has Australians glued to their screens
1.「野生のリアル」が大人気?オーストラリア発、ハヤブサの巣ライブ配信
近年、動物のライブ配信はいくつも登場していますが、中でもオーストラリア・メルボルンのビルで営巣するハヤブサの巣を24時間中継する「Nestflix」は異色の人気を集めています。
単なる可愛い鳥の観察…では終わりません。
この記事は、ハヤブサ「Nestflix」中継に夢中になるオーストラリアの人々と、そこに映し出される厳しい自然の掟、そして猛禽類に関する興味深い生態を紹介しています。
鳥好きだけでなく、都市と自然の関係や、生態系の回復、野生動物観察の新しいスタイルにも触れる内容となっています。
2.「まるでドラマのよう」:記事が伝えるハヤブサの巣の壮絶な実態
記事では、「Over the years the nest has been inhabited by six or seven different pairs of falcons, possibly more. The piece of central Melbourne real estate is ‘highly prized’ by the birds, Dr Hurley says. ‘There’s a guarantee of hot and cold running pigeons and sparrows all year round. So food’s laid on for them.’」
引用: ‘Nestflix’: Peregrine falcon livestream has Australians glued to their screens
つまり、メルボルン都心のこの“巣”はまさに野鳥界の一等地で、獲物(ハトやスズメ)が豊富に手に入り、他のハヤブサたちが激しい争奪戦を繰り広げる舞台です。
さらに、こうした環境では「floaters」と呼ばれる“浮遊者”=未だ縄張りやつがいを持たないハヤブサが巣の奪取を狙い、ドラマのような命がけの闘争も。
「Peregrine falcons are extremely territorial – the closest they’ll nest to each other is about 1.6km – has led to some spectacular fights over the nesting site with ‘floaters’…」
引用: ‘Nestflix’: Peregrine falcon livestream has Australians glued to their screens
記事では、つがい交代、オスの死と継父の登場、雌の損傷と領地の喪失など、年ごとに起こる波乱を、淡々と、しかし臨場感をもって伝えています。
3.「なぜこれほどまでに惹かれるのか?」:ライブ配信が映し出す野生の“真実”
この“都市の巣”は、まさに動物界の「覇者の座」を賭けたリアル・サバイバルを日々繰り広げています。
専門家のDr Hurley は、「These things kills other birds for a living, that’s their specialty and when they’re taking over nests there’s no prisoner abuse scandal, they just kill each other.」と冷静に述べています。
つまり、我々が「可愛い野鳥」として目にしていたハヤブサも、本当は生きるために他を殺し、容赦ない闘争を繰り返す存在であることが分かります。
この巣ライブが多くの視聴者を惹きつけるのは、そうした「自然の非情さ」と「人の手が及ばない営み」のリアルが赤裸々に配信されるからでしょう。
また、自宅やオフィスから、野生の最前線をほぼリアルタイムで観察できるという現代的な視点も重要です。
かつては野生動物の生態を知るには、研究者になったりドキュメンタリーを待つしかなかった。
それが今や、誰もが都市の片隅で繰り広げられる野生ドラマを目撃できる。
この変化は、動物観察文化に新たな地平を開いていると言えるでしょう。
4.「自然の厳しさと人間の感情」:考察-野生への関与と観察倫理
記事中で印象的なのは、「Dr Hurley emphasises that these behaviours are natural and has rejected entreaties from falcon watchers to intervene.」という部分です。
彼は、視聴者からの「かわいそうだから手を貸してほしい」という声を退け、自然の摂理に任せるべきだと強調します。
これは現代の自然観察のジレンマそのものです。
私たちは「かわいい」とか「かわいそう」といった感情で画面の向こう側の生物に共感したくなります。
しかし、野生動物に人が介入すれば、生体系やその種の進化にとって大きな悪影響を与えかねません。
実際、記事中の「at least he didn’t eat the chicks when they hatched as has been known to happen and did in fact provide them with their first feed.」
引用: ‘Nestflix’: Peregrine falcon livestream has Australians glued to their screens
ここで分かるように、ハヤブサの世界では、継父が雛を食べてしまうこともあり、「自然のままに任せる」ことは時に残酷に感じられます。
それでも専門家は「これは自然なこと」であり、「人間の道徳」とは次元の異なるものとして距離をとるべきだとする立場です。
私個人としても、都市環境下における猛禽類のこうしたサバイバルが映し出されることで、それぞれの生物の「本質」や人間中心主義から離れた生態系の実情を認識できる意義は大きいと考えます。
一方、こうした“刺激的な映像”が消費されることで、視聴者が動物を「エンタメ化」し過ぎる懸念も無視できません。
ライブ配信が話題のサファリ化、もしくは「現代の剥製」になってしまわぬよう、適切なガイドや教育的要素も重要となるでしょう。
5.「都市と自然の共生、そのリアル」:現代人への問いかけ
ペレグリンハヤブサは、かつて「農薬で絶滅寸前」とされましたが、「Peregrine falcons, which were once nearly wiped out in Australia due to the use of pesticides in agriculture, have staged a recovery since the 1980s when DDT and other chemicals were banned.」
引用: ‘Nestflix’: Peregrine falcon livestream has Australians glued to their screens
近年、都市部の高層ビルを“崖”の代替とし“復活”を遂げています。
都市と自然の意外な重なり、そして「野生動物と共生する都市」というテーマ――これは現代社会にとってますます重要な視点です。
「Nestflix」は単なるライブカメラ以上の意味を持ちます。
それは都市という人工的な場所に息づく、野生本来の営みを目撃し、“人はどこまで自然に介入すべきか?”を私たちに問いかけているのです。
忙しい日常を送りながら、身近な場所で生き抜く「もう一つの命」の物語に目を向けてみてはいかがでしょうか。
あなたがどこにいても、自然のドラマは今も、すぐそばで繰り広げられているのです。
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