この記事の途中に、以下の記事の引用を含んでいます。
OnlyFans owner paid $701M in dividends as platform readies for potential sale
驚愕の巨額配当──話題のプラットフォームの舞台裏
今回ご紹介する記事は、“OnlyFans”というサブスクリプション型の大手コンテンツ配信サービスに関するものです。
OnlyFansはアダルトコンテンツの印象が強いですが、最近は分野も広がり注目度が年々高まっています。
その一方で、創業オーナーのレオニード・ラドビンスキー氏が2024年だけで7億100万ドル(約1,100億円超)の配当を受け取ったことや、企業売却の動きもあり、事業がいかに「稼げるか」に焦点が当たっています。
この記事では、OnlyFansの最新業績・事業の成長要因・経営者像・今後の展望など、多角的な観点でその実態を掘り下げています。
この話題は、SNSやクリエイターエコノミーが拡大する中で、「どのような仕組みが誰に利益をもたらしているのか」を考える上でも重要な素材です。
まさに“億万長者製造機”?——膨大な配当と売却の可能性
まず記事から核心となるポイントを引用します。
The owner of OnlyFans was paid $701m (£523m) in dividends last year as the subscription service best known for offering adult content positions itself for a potential multibillion-dollar sale.
OnlyFans accounts show it paid $497m in dividends to its parent, Fenix International, which is owned by Radvinsky, in 2024, up from $472m in its 2023 financial year. The business paid a further $204m to its owner in five tranches over the course of December to April.
(訳:OnlyFansのオーナーは昨年7億100万ドルの配当を受け取り、さらに8億ドル規模の企業売却の交渉も進んでいる。2024年には4億9700万ドル、さらに12月から4月にかけて2億400万ドルが、親会社Fenix Internationalを通じてラドビンスキー氏に支払われた。)
また、事業規模も急成長しています。
The UK-based company reported revenue of $1.4bn in its 2024 financial year, up 9% compared with the year before, the accounts filed at Companies House on Friday show. Pre-tax profit rose 4% to $683.6m.
このようなデータは、OnlyFansが単なる流行りアプリではなく、デジタル時代の“稼げる”事業モデルの象徴であることを浮き彫りにします。
なぜOnlyFansはこれほど儲かるのか?ビジネス構造を徹底解説
では、このような「巨額の富」が生まれるOnlyFansの仕組みとは、一体どうなっているのでしょうか。
クリエイターエコノミーの本流
OnlyFansの特徴を一言で言えば、「従来の仲介業者を排した分配構造」です。
クリエイターは、自身の写真・動画・ライブ配信などを、直接“ファン”と有料でやり取りできます。
プラットフォームは売上の20%を手数料として取り、残り80%をクリエイターに還元するシンプルかつ強力なモデルです。
記事によれば
More people than ever are using the platform, with the total number of creator accounts – which split their proceeds 80:20 with the business – up by 13% to 4.6m. The total number of fan accounts grew by 24% to 377.5m.
(クリエイターアカウントは460万、ファンアカウントは3億7750万まで急増)
すなわち、プラットフォームには巨額の決済データと決して単純な“アダルトサイト”には収まらない、多様なクリエイター層が生まれているのです。
「最小限の従業員で世界最大級のサービス」に
この規模からは想像できませんが、OnlyFansの従業員数はたった46人。
テクノロジープラットフォームの高度な自動化やアウトソーシング、ボーダーレスな事業運営体制が極限まで収益性を押し上げていることがわかります。
この“極端なレバレッジ”こそ、デジタル時代のビジネスモデルの真骨頂です。
事業拡張はアダルト以外にも──多様化の兆し
CEOのケイリー・ブレア氏は
OnlyFans had “expanded in new verticals, demonstrating the strength and potential of the platform across a wide range of genres” in the year.
(OnlyFansは新たなジャンルでもプラットフォームの強みと可能性を示しており、分野多角化が進行中)
と強調しています。
近年はアダルトコンテンツ以外にもスポーツ、ライフスタイル、教育・趣味分野などの“新規参入”が目立ちます。
事実、日本人クリエイターの一部も英語圏向けに活用し、音楽やボディメイク、アートなどで成功する例が出てきています。
社会的な批判と規制圧力も
しかし一方で、アダルト系コンテンツを基盤にするこのモデルには社会的な批判や規制圧力が付きまとっています。
OnlyFans also noted in its accounts that it continued to invest in its trust and safety measures, amid tighter online safety rules in the UK.
(英国などでオンライン安全規制が厳格化する中、信頼性や安全性対策への投資が続いている)
実際、クレジットカード会社の規制強化や、未成年利用防止のチェック体制強化は事業の持続性への重要課題です。
王者は誰か?プラットフォーマーとクリエイター、その“明暗”
私自身、このような巨大プラットフォームを支える俯瞰的な数字を知ったとき、最初に浮かんだ疑問は「いったい誰が最も恩恵を受けているのか?」ということです。
プラットフォーム断然有利の構造
年単位で7億ドル超の配当──この規模は米国テック企業のエグゼクティブ報酬や、国内上場企業の利益配分とは比較にもなりません。
サブスクリプション売上は2024年に72億ドル(前年は66億ドル)と増加し、その20%=約14億ドルが手堅くOnlyFansに落ちる計算です。
クリエイターが“主役”として持ち上げられる一方、実際には超高収益を生み出す“舞台”を用意したオーナーだけが億単位のリターンを独占している、という構図にも見えます。
クリエイターは“光と影”
もちろん、トップインフルエンサー級のクリエイターの中には年収数千万円〜数億円を稼ぐ者も存在します。
ところが、数百万人規模のクリエイターが存在すると言っても、全体のパイの多くは「ごく一部」に配分され、スモールクリエイターは“生活費にも満たない”ケースが多いのが現実です。
この現象はYouTubeやTikTokにおける収益分布の「パレートの法則(上位20%が80%の利益を得る)」とまったく同じ構図です。
収益源の分散、サブスクリプション依存のリスク、プラットフォーム変更の脆弱性など、クリエイター個人には見えにくいリスクも潜んでいます。
ビジネスとしての成熟──買収・上場視野へ
現在、親会社Fenix Internationalは米投資会社などと企業売却(評価額80億ドル超)の協議も進めていると報じられています。
事業初期の“尖ったベンチャー”から「金融資本主義の成熟フェーズ」にシフトし始めており、既存の大手SNS企業に次ぐ「巨大デジタルインフラ」の一角となりつつあります。
今後のOnlyFans、そして“クリエイターエコノミー”はどうなる?
最後に、日本を含めた読者に向け、この記事が提供する一番の教訓や示唆を考察してみます。
誰のための「新しい経済」か?
OnlyFansは、確かにこれまでにない“誰もが発信者になれる”仕組みを作り出しました。
しかし、最も収益を上げているのは、事業そのものを設計し提供する側──すなわちプラットフォーム所有者です。
クリエイターやファンは「自分の居場所」を得たように見えても、基盤となるインフラや支払いルールの変更一つで簡単に立場が逆転することも事実です。
サブスク時代の「分散と集中」
経済全体がサブスクリプションモデルへ移行するなかで、ピラミッドの上部にいる“設計者”が莫大な利益を吸い上げ、下部の参加者は多様なチャンスに恵まれるが、それだけで簡単に“勝者”になれるわけではありません。
対価を得るには?
これからクリエイターを目指す人、SNSを活用して副収入を得たいと考える人、あるいは投資先として“クリエイターエコノミー”分野に関心を持つ人へ。
「プラットフォームビジネスの本質」は、“誰の頭脳で、どのような設計図で、どこに富が集中しているのか”という視点の重要性を改めて示しています。
これらを踏まえて、あなたが「どの立場で、どの役割で新たな経済圏に関わるか」を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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