「週5日のフルタイム勤務は当たり前」。
そう思い込んでいませんか？
しかし、今回ご紹介する最新の国際的調査結果は、その“常識”を根底から問い直します。
「週4日勤務」。
その導入が、私たち働く人間にも、企業にとっても想像以上のメリットをもたらす可能性が指摘されています。
本記事では、その研究成果をひもときながら、実際に週4日勤務がどんなインパクトをもたらすのか、そして課題や日本社会への示唆まで掘り下げて解説します。
世界を驚かせた研究：週4日勤務で“より幸せ”なのは本当か？
まず、記事が紹介しているのは、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、アメリカの6ヶ国、計141の企業・団体、約2,900名の被験者で実施された画期的な調査です。
引用元では次のように述べられています。
「週4日勤務を導入した企業の従業員は、“より少ないバーンアウト（燃え尽き症候群）”、 ‘仕事への満足度の向上’、加えて ‘メンタル・フィジカルヘルスの改善’を報告した」（出典）
さらに注目すべきは、「減らした労働時間が大きいほど、効果も大きかった」という点です。
減った労働時間がもたらす“質”の変化とは？
この研究の意義は、「単に働く日数を短縮した」という表面的な施策以上の効果が生まれた点にあります。
記事中では「労働時間が週に8時間以上減った人は、より大きなバーンアウトの減少や満足度・メンタルヘルスの改善を実感した」とデータを示しています。
つまり、“時間”だけでなく“心と体の余裕”が比例して増したということなのです。
また、「睡眠の質向上」「仕事の効率アップ」「慢性的な疲労の減少」が要因として挙げられており、単なる自由時間の増加に留まらず、働く人のコンディション全体が好転しているのが特徴です。
企業側にもメリットがあります。
「ワークフローの最適化」が促進され、「組織全体としての生産性の向上」や「従業員の職務遂行能力の実感向上」が起こるなど、“仕事の質”そのものがアップデートされた、と研究チームは指摘しています。
この現象は、日本における「働き方改革」や「生産性向上」とも深くリンクしているのは間違いありません。
週4日勤務、実現のためのハードルと日本社会への適用可能性
一読して「それならうちの会社でもすぐやろう！」と言いたくなる調査結果ですが、手放しで歓迎できるだけの“万能薬”ではありません。
その最大の理由は、「参加企業がすでに従業員のウェルビーイングに積極的だった可能性が高い」ことです。
実際、記事でも「今後は業種や規模などが異なる企業での追試が必要」と強調しています。
これは、一般論として導入しづらい業界やポジション（例：医療・介護、24時間営業型のサービス業など）が存在し、また「業務効率化」や「無駄の削減」が事前準備として不可欠になる――という現実を示しています。
日本で週4日勤務がどこまで拡大しうるのか。
これは単なる「日数の短縮」ではなく、「組織文化」「評価の仕組み」「仕事の切り分け能力」など多角的な働き方改革がセットでなければ、逆に業務負担の偏りや導入コストの問題が噴出しかねません。
筆者も業務改革や働き方相談の現場で「現行業務の棚卸し」や「目標管理・成果主義型マネジメント」の必要性を何度も目の当たりにしてきました。
単純な時短だけでは「仕事が回らない」「結局残業が発生する」「他職種との調整が困難」といった声が噴出します。
ですが、その山を乗り越えた時、待っているのは「時間的なゆとり」と「自分の仕事に納得感を持てる日々」なのです。
週4日勤務導入を“魔法の杖”と思い込まず、組織や業界の特徴にあわせてカスタマイズしながら、「なぜ短縮したいのか」「それで得たいゴールは何か」を明確に議論する姿勢が、今後ますます重要となるでしょう。
日本の働き方に“未来の選択肢”を——実感とともに考える
ここまで読み進めて、「実際ウチの職場で実現するならどうなる？」と疑問に思った方も多いかもしれません。
事務系やプロジェクト型、またはIT産業のように「成果」で評価しやすい企業なら比較的導入はスムーズです。
一方で、「現場対応ありき」「顧客サービス優先」といった企業文化・業務フローの場合、現状維持バイアスや「結局人手が足りなくなる」リスクのバランスをどう取るかが課題となります。
サービス業界での“実験的”導入事例でも、シフトの最適化やAIの活用、また報酬の柔軟な再設計――といった「働き方そのものの再構築」が絶対的に必要になるでしょう。
しかし、国際的な潮流として「健康的な労働」「成果ある働き方」に注目が集まっている状況をみれば、日本でも“新たなトライ”を始める職場が増えるのは間違いありません。
本記事は「働き方改革」を“机上の理想”として終わらせず、エビデンスに裏付けられた“現実的な目標”として捉え直すチャンスになるはずです。
結論：「人生100年時代」を賢く生き抜くために
週4日勤務の“効果”を裏付けるデータは、単なる願望論ではなく現実化しつつある働き方の未来像です。
今後ますます重要なのは、「自分たちの職場・業界ならどんな時短施策ができるのか」を考え抜き、可能な範囲で柔軟な選択肢を増やすこと。
従来の“勤勉主義”や“長時間労働礼賛”と距離を置き、仕事と人生のバランスを取り戻すヒントとして、ぜひ「週4日勤務」という発想を持ち帰ってみてはいかがでしょうか。
Research Reference:
“Workers at companies that instituted a four-day work week—essentially working 80% of their regular hours for the same pay—reported less burnout and better job satisfaction along with improved mental and physical health”
(出典元、2025年7月24日付)
categories:[society]
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